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メキシコに蔓延する誘拐ビジネスの闇 母の視点と心情からリアルに描く『母の聖戦』

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 メガホンをとったのは、ドキュメンタリー出身で、本作が劇映画デビュー作となる女性監督テオドラ・アナ・ミハイ。当初、メキシコの麻薬戦争下での子どもたちを題材とするドキュメンタリーを企画していたミハイ監督は、本作の主人公シエロのモデルとなった実在の女性ミリアム・ロドリゲスと出会い、「毎朝起きるたびに、拳銃で自殺するか、人を撃ちたいと思う」という彼女の言葉に衝撃を受け、これまでどんな経験をしてきたのか聞き出したことが『母の聖戦』の出発点となった。

 ミハイ監督は「私は、このストーリーをできるだけリアルに伝えて、それをできるだけ多くの世界中の観客にシェアしたいと思った。そして彼女(ミリアム)も私にはそれができると信じてくれて、良い方向に変わっていくためには世界中の人にこのストーリーを知ってもらうことが必要だとも思ってくれた。これが、『母の聖戦』とその強力な主人公シエロに生命を与えたクリエイティブな火花だったというわけ」と、本作に込めた想いを語っている。

 どの国にも闇はある。近年映画賞レースを席巻する数々の巨匠監督を輩出しているメキシコの影の部分をリアルに体感させてくれると同時に、ヒロインの強いまなざしと不屈の精神に強く心を動かされる秀作だ。(文・古川祐子)

 映画『母の聖戦』は公開中。

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