『ブラッシュアップライフ』脚本・バカリズムの仕掛けがすごい! 視聴者を夢中にする小ネタ&伏線の数々
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こうした、日常の何気ない様子を切り取った本作だが、視聴者が最も目を離せない理由は、秀逸な伏線回収ではないだろうか。第1話、麻美、美穂、夏希が交わした“ポケベル”についての会話が、麻美が人生2周目で、友人の玲奈ちゃんのお父さんの不倫を未然に防ぐ際の作戦へとつながっていく。
『ブラッシュアップライフ』第6話場面写真(C)日本テレビ
「(ポケベルが流行ったのは)うちらが保育園くらいのときじゃない?」と、1周目では使い方を知らなかったポケベルを、人生2周目、しかも保育園児の麻美が使いこなすのだ。さらに、人生1周目の妹・遥(志田未来)との会話も、不倫を防止するヒントに。今現在では撤去されてしまった電話ボックスの場所や、父が貯めているへそくりの場所を2周目で知っていたことで、麻美の不倫防止計画が成功するのだ。さらに第1話のラストでは、国武万里の「ポケベルが鳴らなくて」が流れるなど、至れり尽くせりな演出で伏線を回収していく。
また、同じく第1話の「(中学時代の教師)ミタコング(鈴木浩介)が何か問題を起こして辞めたんだって」という会話は、2周目、3周目と、麻美のミッションとして引き継がれていく。さらに、伏線回収とは違うが、松坂桃李演じる元カレ、田邊勝のエピソードも、人生ごとに違いが見られておもしろい。先日、公式ツイッターが、麻美の人生2周目と3周目で成功者となった勝(松坂)のオフショットを披露。各周で年商に1億円の差が生まれた勝が、雑誌で着けていた腕時計のデザインが異なることを明かして話題になった。このように、遊び心が詰まった演出のこだわりも楽しい。
■豪華俳優陣が続々登場
そして、テレビ局内で登場するドラマもそうだが、ここまで、実際に放送されていた他局の作品タイトルや、出演俳優の実名、時に本人役として名だたる俳優が続々と登場する豪華な演出も新鮮だ。
中でも、ここまでの屈指の名場面として挙げたくなるのが、麻美が2周目の人生で不倫を阻止したことにより、引っ越しがなくなった玲奈(黒木華)と再会したカラオケでのシーン。彼氏の宮岡徹(野間口徹)が既婚者だと聞いた玲奈は、麻美、美穂、夏希の心配をよそに、ブチ切れた様子ですぐに電話をかけ、「お前、既婚者なんだってな!」と一瞬の迷いもなく切り捨てた。これには、麻美たちでなくとも拍手を送りたくなる。黒木は、玲奈の柔らかい雰囲気と、豹変した姿、テンションMAXでヘヴィメタル曲を歌う姿を見事に演じ分けたのだ。
残念ながら、人生3周目では麻美が宮岡の不倫を未然に防いだため、このカラオケのシーンはなかった。作中に聞こえた麻美の「もう1回見たかった」という心の声は、視聴者の心のつぶやきでもあったのではないだろうか。
また、第3話では人生2周目の麻美が、俳優の前野朋哉を目撃するシーンも。これは、“現在放送中のドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系/毎週水曜22時)を撮影中の前野朋哉を見かけた”という設定のコラボレーションとなった。ちなみに、本作と『リバーサルオーケストラ』は、ともに三上絵里子がチーフプロデューサーを務めている。