50歳を迎えた木村拓哉の“当たり役” 『教場』を見られることへの幸運と期待
ドラマ『風間公親ー教場0ー』第1話より
そして50歳を迎えた木村が主演を務める『風間公親-教場0-』は、新人刑事たちの指導刑事をしていた現役時代を描く前日譚だ。
第1話では、交番勤務から神奈川県警本部の捜査一課に配置換えとなった瓜原潤史(赤楚衛二)が、“風間道場”とされる指導を受けながら事件にあたった。『教場』シリーズは、長岡弘樹氏の小説を原作としており、第1話は、それぞれ短編集の『教場0 刑事指導官・風間公親』第1話「仮面の軌跡」と、『教場X 刑事指導官・風間公親』第1話「硝薬の裁き」に、アレンジが加えられたストーリーだった。
エピソード0とされているため、優秀な刑事としての能力はそのままに、鬼教官とはまた違う、現役刑事としての(多少は優しさもある)表情が見られると思っていた部分もあったのだが、第1話を見る限り、義眼でこそないものの、すでに “風間道場”における風間も十分に冷徹な指導役の刑事の顔である。
■若手刑事への指導を通じて人間の弱さを炙り出す風間=木村に期待
さらに正直、ドラマ向けの脚色により、刑事もののトリックとしての色合いは弱まった気がする。しかし『教場』が生徒たちの暗部に切り込み人間ドラマを描いたように、本作も“風間道場”で学ぶことになる5人の若き刑事たち、瓜原、隼田聖子(新垣結衣)、遠野章宏(北村匠海)、鐘羅路子(白石麻衣)、中込兼児(染谷将太)の人間的な弱さや変化を見せていくことに主眼を置いているようだ。
赤楚演じる瓜原は、「苦しんでいる人の気持ちが理解できる。人に優しい警察官になりたい」とポリシーを掲げるキャラクターだが、第2話でさらに、事件解決と同時に、風間は瓜原の内部をえぐり出していくだろう。人間の弱さ、醜さ、同時にそこから這い上がっていく強さを提示する『教場』シリーズ。風間イコール木村は、その命題を見事にクリアして伝えてくれるはずだ。もちろん、風間が義眼になった事件と遠野の詳細についても当然知りたい。そしてその時、風間自身の表情はどう動くのか。楽しみに見続けたい。(文・望月ふみ)