クランクイン!

  • クラインイン!トレンド

『鬼滅』『呪術』脅かす傑作続々 “希望”と“絶望”に沸いた2023年アニメ振り返り

アニメ

■沈む視聴者救う 『葬送のフリーレン』快進撃

 10月期は、『SPY×FAMILY』Season 2、『薬屋のひとりごと』、『シャングリラ・フロンティア』、『ミギとダリ』、さらにNetflix配信の『PLUTO』など話題作が続々と登場。アニメ映画では現在公開中の水木しげる生誕100周年記念作品『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』がヒット、さらに12月22日に公開されたばかりの『劇場版 SPY×FAMILY CODE:White』も全国映画動員ランキング1位に輝くなど豊作期となったが、なかでも金曜ロードショーによる初回4話一挙放送で注目を集めた『葬送のフリーレン』の快進撃が目覚ましい。

 人(エルフ)の変化と成長を描く原作の魅力、見せ場を引き立てる作画、フリーレン役・種崎敦美(※)ら声優陣の名演など良作の条件を満たしているのはもちろんだが、本作ではさらに2つの役割を担う“回想”と“音楽”が印象的だ。

 魔王を倒した勇者の死から始まる物語では、主にフリーレンの回想によって彼女の過去と勇者一行の輪郭が徐々に明瞭になっていく。また、回想は見せ場への種明かしとしても機能する。この2つの役割によって、視聴者はフリーレンとともに勇者一行の旅の痕跡を辿りながら各話の山場がどうなるのかを理解することになるが、特筆すべきは“結末がわかったうえで過程を楽しめる”構成。

 特に“葬送”のタイトル回収と「アウラ、自害しろ」で人気を不動のものにした“断頭台のアウラ編”は、結果が予想できるうえフリーレンのアクションシーンも少なかったが結末を見せるまでの演出が素晴らしく、国内外問わず非常に高い評価を得ている。

 見せ場を引き立てる音楽による感情の誘導も忘れてはならない。静と動の緩急が特徴的な作風を象徴するような無音を効果的に使うことで、見せ場で流れる素晴らしい音楽がより際立つ。回想と音の緩急が一体となって盛り上げるシーンは鳥肌が立つほど感情を揺さぶられる。

 音楽を担当したのは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』などアニメ音楽を多数手掛ける作曲家エバン・コール。また、『推しの子』で「アイドル」を担当したYOASOBIのオープニング楽曲「勇者」は、2023年12月時点でYouTube視聴回数5千万に迫るヒットを記録している。2クール放送の『呪術廻戦』が本格的な鬱展開を見せるなか、絶望ではなく感動で泣ける本作に助けられたという視聴者は多い。

■2024年も注目作が目白押し

 2024年は、春に『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』が放送開始。「刀鍛冶の里編」と同じく、2月2日より『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』も上映される。原作のエピソードから、これまでのような柱vs上弦の鬼の激しいアクションは少ないと予想されるが、上がり切ったファンの期待に応えるためどのような作品に仕上がるのか注目だ。

 このほか、1月期に『キングダム』第5シリーズ、『うる星やつら』第2期、『青の祓魔師 島根啓明結社篇』、4月期に『ゆるキャン△ SEASON3』、『怪獣8号』、『ザ・ファブル』、『響け!ユーフォニアム3』、『黒執事 寄宿学校編』、『転生したらスライムだった件』第3期、『僕のヒーローアカデミア』第7期、10月期に『ダンダダン』がスタート。

 さらに、『【推しの子】』第2期、『ダンジョン飯』、『狼と香辛料 merchant meets the wise wolf』の年内放送、映画では4月から劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』、『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』の公開も決まっている。希望も絶望も与えながらファンを魅了した2023年に負けず、話題作が目白押しの2024年。進化を続けるアニメ作品が視聴者の想像をどう超えてくるのか期待したい。(文:二タ子)

※崎の正式表記は「たつさき」

2ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

関連記事

あわせて読みたい


最新ニュース

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る