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デミ・ムーア、美と過去の栄光にすがりつくヒロインを怪演! 『サブスタンス』はルッキズムまん延するエンタメ業界へのユーモアと風刺あふれる快作

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 本作でこれまで隠すよう抑えられてきた女のドロドロした部分を、体当たりで表現したデミ・ムーア。デミと言えば、個人的には彼女の出世作『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)のベリーショートがよく似合うキュートなヒロインが一番印象深い。その後のキャリアは賞レースをにぎわせるというより、ゴシップ欄をにぎわせるイメージだったが、今回の『サブスタンス』の突き抜けた演技で見事再ブレークを果たした。

 そんなデミ演じるエリザベスと対峙する“上位互換”スー役を務めたマーガレット・クアリーの、主人公が失った若さと美しさを圧倒的に体現する姿もまぶしい。実はマーガレットの母親は、デミと同じく主に1980~90年代に活躍した女優のアンディ・マクダウェル。目元が優しげで、お母さんと同じく親しみやすい美貌の持ち主だ。

 そしてもう1人、50歳になったエリザベスをお払い箱にするテレビプロデューサー、ハーヴェイを演じたデニス・クエイドも強烈。いかにもエンタメ業界にいそうな、キャスティング権を振りかざす傲慢なプロデューサーを、露悪的とも言えるほど怪演している。彼がスポンサーを引き連れて登場するシーンは、皮肉が効いていて思わず笑ってしまう。

 本作での演技でゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得したものの、アカデミー賞主演女優賞は惜しくも逃したデミ。その後、『ANORA アノーラ』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したマイキー・マディソンを祝福するコメントを発表した。デミは今回演じたエリザベス役を「安心して演じられる役の範囲を完全に外れている」と評していたけれど、マイキーが演じたヒロイン、アノーラも同じくさらけ出す覚悟が必要な大変な役柄。精神的にも肉体的にもタフさが要求されるヒロインを、勇敢に体当たりで演じたデミとマイキーの2人に拍手を贈りたい。(文:古川祐子)

 映画『サブスタンス』は、5月16日公開。

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