島崎遥香の繊細な演技が光る『もしレン』 恋愛がない世界で人を好きになる切なさと葛藤
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ドラマ『もしも世界に「レンアイ」がなかったら』第3話場面写真 (C)『もしも世界に「レンアイ」がなかったら』製作委員会
第2話では、乙葉は太一に誘われて一夜を共にする。その後も二人はデートをするなどして関係性を深め、乙葉は太一への想いを募らせていった。レンアイ仲間でもあるナギはそんな乙葉を心配して「これ以上踏み込んだら、傷つくのは乙ちゃんだよ」と忠告するが、乙葉は「幸せだから水を差さないでほしい」とそれを突っぱねる。ナギに言われなくても、乙葉はわかっていたし悩んでいた。太一は自分とは違う。太一のことを特別だと思っているのは自分だけ。わかっていても止められないまっすぐな感情と、踏み込んではいけないという感情の揺れが切ない場面だ。
そんな中で、乙葉が太一と自分の違いを決定的に感じる出来事があった。太一は、乙葉の幼なじみの葵(山谷花純)とも関係を持っていたのだ。乙葉が生きる世界では普通のことで、葵は特に重要なこととも思わずに乙葉にそのことを打ち明けるが、乙葉は思わず泣き出してしまう。そこに偶然通りがかったハレが「乙ちゃん、今日うちに泊まりに来る約束してるんだ」と優しい嘘をついて乙葉をその場から連れ出したところで第2話の幕は閉じた。
心の中でわかっていたとしても、それを目の前に突きつけられると一瞬で心が崩れてしまう脆さを、島崎は瞳にたっぷり涙を溜めて肩を震わせ大号泣するという演技で見せていた。どこか自信がなさそうで、いつも迷いながら進んでいる乙葉の弱さは、島崎の透明感や儚さとマッチしている。しかし乙葉は「自分の気持ちに正直に生きたい」という強さも持っており、これも島崎の内面からにじみ出る芯の強さに重なった。第2話では「好きな人と一緒にいたい。だけど苦しい」という、希望と苦しさの間で揺れるもどかしさが丁寧に描かれていた。