日向坂46『放送作家松田好花』に気づかされた インタビューで“本音”を引き出すヒント

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インタビューに答えはない。人に聞くのではなく、人の話を聞いて“掘り下げる”というのはつくづく難しい。ライターでありインタビュアーの筆者も、日常的にそう痛感する1人だ。先日放送された日向坂46のメンバーが出演した番組『放送作家松田好花 リターンズ』(テレビ東京系)は、インタビューの本質を改めて考えさせられるものだった。
【写真】日向坂46・松田好花インタビュー 初写真集で見せた“涙の理由”を語る
■相手が涙したインタビューでは「仕事の本分」を痛感
『放送作家松田好花』は、日向坂46の二期生である松田好花が企画から番組作りに挑む不定期放送のシリーズ番組だ。8月11日の放送分の第2弾『〜リターンズ』では、グループの四期生11人へのインタビューを番組スタッフや松田が敢行。朝と夜で同じ質問を投げかけて違った回答を引き出すなど、ユニークなアプローチの企画によって、後輩メンバーの本音に迫った。
番組後半では、松田自身がインタビュアーとして「一番の悩みは?」をテーマに、四期生の石塚瑶季や山下葉留花の活動における葛藤を上手に引き出していた。
相手の本音を引き出すためには、信頼が必要だ。先の番組では、メンバー間の信頼が背景にあったのはもちろんだが、筆者が行うインタビューの現場でも、相手の信頼を得て本音を語ってもらうために、「何を工夫するべきか」と常々考えている。
筆者は日常的に、アイドルの方々へインタビューする機会が多い。実際のインタビュー序盤では、直近にあったライブやSNS、出演番組などで気になったことについて雑談程度に尋ねる。日々の活動を見ているのが、さりげなく伝わるようにとの思いからだ。
アイドルの世界では特に「そのグループやメンバーの背景をどれほど深く知っているのか」が試される。そのために先のやりとりが必要だと感じていて、現場で「役立った」と実感できることもあった。
こちらが、取材相手の日々の活動を見ていることが伝わると、安心感を抱いてくれ、貴重な話を聞くこともできる。例えば、ライブの裏話として「実は、このときにメンバーの誰々がこう言ってくれて…」とさりげなく答えてくれるようなこともあり、前後にあった出来事も掘り下げられて、記事の内容に厚みが生まれた。
さらに、これまでの取材の中では、日々の葛藤を素直に語ってくれたアイドルもいた。「正直、辞めたいと思ったことはありますか?」と尋ねて、涙ながらに本音を明かしてくれたこともある。心苦しさはありつつも、インタビュアーとして「相手の内面に深く迫る」という仕事の本分を身にしみて痛感した。
ただ、自分のアプローチがすべて正解だとは思っていない。冒頭で述べたとおり、インタビューに答えはなく、今日もまた、数日後に控えるインタビューを「どうするべきか?」と悩んでいる。それでも、人の生の声にじっくり耳を傾けて、記事として世に出す仕事のやりがいは何ものにも代えがたい。『放送作家松田好花 リターンズ』は、筆者にとっての日常の意義を再確認させてくれる“仕事番組”にほかならなかった。(文:カネコシュウヘイ)