2025年、面白かったドラマ! 人気脚本家の新たな名作、“死”に向き合った良作も
近年、各局ともにドラマの本数が増えている。さらに配信業者との協業により、数々のドラマが“リアルタイム”ではなくても気軽に“一気観”できる視聴方法も増えてきており、ただ単に視聴率が高いイコール“良いドラマ”という指標の意味が問われている(スポンサーにとっては重要だが)。そんななか「今年面白かったな」と思うドラマをあげてみたい。
【写真】2025年を彩ったドラマ、主演俳優で一気にチェック!
■「逆転しない正義」を軸に日本の朝を彩った『あんぱん』
まずは半年に渡って放送されるNHK朝の連続テレビ小説。2025年内にスタートして完結したのは、『あんぱん』。日本の子供なら誰もが通るだろうという『アンパンマン』を生み出したやなせたかしさんと、その妻・小松暢さんの絆を描いた物語だ。ヒロイン・のぶを演じたのは今田美桜。嵩(たかし)を演じたのが北村匠海だ。
誰もが知るキャラクターである「アンパンマン」の誕生秘話を、たかしとのぶの幼少期からの関係性(実際の出会いとは違うが)を描きながら、戦争という非常に重いテーマと正面から向き合った。「逆転しない正義」という一本の軸を常に感じさせるなか、ユーモアもしっかり織り込み緩急自在に描き切った中園ミホの脚本は秀逸だった。
さらにのぶを演じた今田、その妹たちの河合優実、原菜乃華のバランスの良い三姉妹、その母・羽多子役の江口のりこ、嵩の母・富美子役の松嶋菜々子らの家族構成も秀逸。どの俳優も緩急剛柔のキャラクターを思うがままに操り、視聴者を飽きさせなかった。
のぶとたかしの幼少期から、青年期、戦争期、東京……と各パートで登場するキャラクターも個性的で飽きることなく最後まで作品を観ることができた。パン職人の屋村草吉役の阿部サダヲの突拍子のなさはもちろん、嵩の人生の指針となる出会いになる八木信之介役の妻夫木聡、嵩の作詞家としての才能を引き出した、いせたくや役の大森元貴など、キャスティングの妙も作品を彩った。

