2025年、面白かったドラマ! 人気脚本家の新たな名作、“死”に向き合った良作も
4月期に放送された『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)は、安定の面白さ。しっかり現実を描いているのに、観ている間は、どこか違う世界線にいるような心地よさが秀逸だった。10月期に放送された『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)は、第1話目で竹内涼真演じる主人公の海老原勝男が、自身のモラハラ気質により、清々しく振られるところからスタートする話だが、全10話ある連続ドラマで、すでに第1話で改心を始めていくところが「早すぎる」と思いつつも、最後まで興味を持たせる竹内のセリフを発しないときの愛らしさが魅力的だった。周りを取り巻くハートフルな仲間たちも素敵。特に後輩・南川役の杏花は、物語にとてもいいエッセンスを加えていた。
4月期放送の『しあわせは食べて寝て待て』(NHK)は、地に足がついた暮らしを丁寧に描き、とても感情移入できる良作。桜井ユキ、加賀まりこ、宮沢氷魚の素晴らしい演技も染み入る。6月放送の『ひとりでしにたい』(NHK)は、とにかく考えさせられるドラマ。「死」という重いテーマをポップかつかわいらしく描く作品のテイストはとても惹(ひ)かれた。当然主人公・山口鳴海を演じた綾瀬はるかの演技が魅力的だったことは言うまでもない。
1月放送の『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)は、演技派の俳優たちの奥行きのある芝居が楽しめた。サスペンスだからこその余白を、言葉で説明しなくても表現できるので、ドラマにしてはゆっくりと考えながら観られた。これまで親がいない役をさんざん演じてきた広瀬すずだが、本作で演じた、父を亡くした山下小麦というキャラを、これまでとは違う引き出しで好演した。
10月放送の『シナントロープ』(テレビ東京系)は、いま注目の若手俳優たちがこぞって出演。芯を食わないまま進んでいく物語で、キャラクターのエッジが重要な要素となるなか、見事といえるような配置。今後の映像界を支えていきそうな俳優たちの佇まいは大きな注目だ。

