朝ドラ『マッサン』、タイトル選定の決め手は「愛の呼称」

「初の海外からのヒロイン」や「国際結婚」など、話題性も見どころも豊富で、視聴率も好調に推移している連続テレビ小説(朝ドラ)『マッサン』。ウィスキー作りのすべてをかけた亀山政春(玉山鉄二)とその妻・エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)の二人三脚の人生を描いている作品だが、そもそもこのタイトル、どのように決まったものなのか。制作統括の櫻井賢氏に聞いた。
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「マッサン」という言葉は、ドラマ内でも毎日、エリーの口から連呼される。これは、「マサハルサン」が言いにくいという理由で、エリーが政春のことを、愛をこめて呼ぶ際の響きだ。
タイトルは番組の顔であり、その選定には時間がかかったと、櫻井氏は語る。「タイトルは、『テーマや作品の世界観がわかること』『覚えやすく親しみやすいこと』『見たいと感じる新鮮さ』などを考えて、(脚本家の)羽原大介さんと演出チームと何度かブレストを行いました。いろいろなアイディアがありましたが、どこかインパクトとシンプルさに欠けると感じていました」(櫻井氏 以下同)
「国際結婚の夫婦の愛の物語」をシンプルに伝えたいが、どうもストレートに届いてこない。そんなとき、チーフ演出の野田雄介さんがきっぱりと発案したのが「マッサン」だった。「『名前は夫だけだけど、そこには、夫を見つめる妻エリーの目線がある。愛の呼称というのは、どうか』というアイディアがとても腑に落ち、決定に至りました」
タイトルは『マッサン』だが、主人公はマッサン一人ではなく、夫婦だ。それを端的に、かつドラマチックに描き出すのが、オープニングタイトル。おでこを合わせて見つめ合う政春とエリー二人の顔があり、「マッサン」というタイトル、その上にはハート型で「MASSAN」「ELLIE」の文字が描かれている。まるで二人が愛を込めて互いの名前を呼び合う声すら聞こえてきそうなデザインだが、「夫婦が主役と当初から考えていました。ですから、自然とそのデザインにつながりました」と櫻井氏は話す。