大河ドラマでの熱演に注目! “巻き込まれ型”俳優・大泉洋の魅力とは?
また、謎の感染症によって穏やかな日常が一気に崩壊する花沢健吾のホラー漫画を実写映画化した『アイアムアヒーロー』でも大泉は、さえない普通の漫画家・鈴木英雄を演じたが、彼もまた、自分の意志とは関係なく、パンデミックによって増殖したZQN(ゾキュン)撃退に巻き込まれていく。この作品でも最初は視聴者をイライラさせるぐらい状況にアジャストできない男を演じているが、どんどん追い詰められ、窮地に立たされることによって、火事場の馬鹿力的な能力を発揮し、ヒーロー然と輝く。
能動的に道を切り開き、強さと格好良さを持ったヒーローを演じるのではなく、誰もが身近に思えるような距離感の男の人生をしっかりと演じることにより、視聴者に親近感を持たせる。そして、その人物が、あるきっかけによってヒーロー然と光り輝く、その瞬間をしっかりつかみ取り、見せ場として躍動する。ここ最近の大泉の作品を観ていると、こうした表現力に長けていると感じる。人間ドラマをじっくりと演じられる俳優なのだ。
2017年も『東京喰種トーキョーグール』や『鋼の錬金術師』など話題映画への出演が続く大泉。前述したように、さまざまな顔を持つ懐の深い人物だけに、今後の出演作からも目が離せない。(文:磯部正和)