“王子様”から演技派へ『グッド・ドクター』で見せた山崎賢人の新境地
山崎にはこれまで、どうしても“王子様”イメージがつきまとっていた。2014年から2016年頃にかけて出演した映画が『L・DK』『ヒロイン失格』『orange‐オレンジ‐』『オオカミ少女と黒王子』といった少女漫画原作作品で、ヒロインの相手役を演じることが多かったからだろう。山崎は少女漫画から抜け出たような“理想の王子様”にぴったりだったのだ。
しかし、昨年からの活動を見ていると、その“王子様”イメージを脱却する方へと舵を切っているように思う。映画では『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『斉木楠雄のΨ難』と、同じ漫画原作と言っても別ベクトルのキャラクターが続いた。
ドラマでも、2017年10月期の『陸王』では主人公の息子として思い悩む“今ドキのリアルな若者”を好演。今年1月期の初単独主演ドラマ『トドメの接吻』では、欲望に忠実に動いていくクズ男のホスト役、と続いた。そういった“振れ幅”を広く見せてきた近年の集大成が、今作『グッド・ドクター』の演技と言えるだろう。
『グッド・ドクター』のプロデューサーを務めた藤野良太氏は、山崎が出演した2014年の『水球ヤンキース』、2016年の『好きな人がいること』も担当。彼をよく知り尽くしたスタッフ陣がいたからこそまた、俳優・山崎賢人の新境地へと二人三脚で進んでいくことができたことは想像に難くない。
有望株のひしめき合う若手俳優の中でも、一気に“演技派”への階段を登った山崎。次はどのような顔を見せてくれるのか、楽しみにしたい(文・川口有紀)。