今、中国のファンタジー・アドベンチャーが熱い! “王道の物語”は日本アニメの影響!?

近年、中国アニメの急成長が日本でも大きな注目を浴びている。今夏には中国の国産アニメ映画『ナタ之魔童降世(なたのまどうこうせい)※』が興行収入“約600億円”を突破するメガヒットとなり、2015年に国産アニメ映画歴代1位の興行収入約192億円を記録した『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』をはるかに超える成功を収めた。この2作に共通するのはいずれも日本人にもなじみのある中国の古典(「西遊記」「封神演義」)を取り入れたファンタジー・アドベンチャーであること。今、中国ではこうしたファンタジー・アドベンチャーの人気が高まっており、アニメにとどまらず実写ドラマにも及んでいる。その好例といえるが、2018年中国で大ヒットを記録したドラマ『神龍<シェンロン>‐Martial Universe‐』(以下『神龍』)だ。 ※「ナ」は口へんに「那」、「タ」は口へんに「屯」。
【写真】『神龍』主演の中国人気No.1俳優、ヤン・ヤン
日本での人気も高い若手スター俳優、ヤン・ヤンを主演に迎えた『神龍』は、総額約100億円という巨額の製作費を投じ、ハリウッド作品並みの“壮大な物語”を描き出したファンタジー・アドベンチャーだ。
原作となった人気Web小説『武動乾坤』は、2017年「フォーブス」中国版の「中国の30歳以下30人のエリート」の一人に選出された若手作家・天蚕土豆によるオリジナル作品で、その内容は中国の古典だけでなく日本の漫画・アニメの影響も見て取れる、“ハイブリッドな世界観”となっているのが人気の秘密だ。
例えば、様々な属性を持つ個性的なキャラクターたちが魔物を封じるために8つの“護符を集める”ストーリーは、中国でも大人気の漫画『ドラゴンボール』を思わせる。同時に、8という数字、運命に導かれた英雄たちが集い、動物の妖怪なども登場する点は、江戸時代の日本の伝奇小説「南総里見八犬伝」の世界観を彷彿とさせる。
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そもそも数珠の玉を持つ八犬士の冒険を描いた「南総里見八犬伝」が中国の古典である「水滸伝」「三国志演義」「西遊記」などの影響を受けて書かれていることを考えると、こうしたストーリー自体が中国と日本の間をループしながら定着したファンタジー設定といえるかもしれない。
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