足掛け10年、人気ゲーム『HALO』ドラマ化がついに実現 スパルタン役俳優が撮影の過酷さを語る
プロジェクトの立ち上げから10年以上。全世界で8200万本以上を売り上げたゲーム『HALO』の実写ドラマが、ついに日本にも上陸した。2021年3月にスタートしたParamount+が1話に10億円をかけた超大作オリジナルシリーズで、本国アメリカで第1話が配信されると、オリジナル作品としては最高視聴数を記録するなど、大いに盛り上がりを見せている。本作で主人公のスーパーソルジャーを演じる俳優パブロ・シュレイバーに、撮影の裏側などを聞いた。
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■「SW」スピンオフ作品にも引けを取らないスケール
製作総指揮を務めるのは、スティーブン・スピルバーグ。このゲームの大ファンである彼は、この世界が持つさまざまな要素をできるだけ取り込むべく、最初から劇場用映画ではなくテレビドラマにすると決めていた。そこでプレミアムケーブルチャンネルShowtimeをパートナーに迎え、2019年の放映開始を目指して準備が進められるも、監督の降板など紆余曲折を経験。今年3月になってようやく、配信サービスParamount+の花形作品として、アメリカでお披露目されることになったのだ。エグゼクティブ・プロデューサーのキキ・ウォルフキルは、「これはとてもスケールが大きい作品。正しい人たちを集めて、正しいチームのもとで作ることが絶対に重要だった」と、時間がかかった理由を説明している。
『HALO』 Halo (C) 2022 Microsoft Corporation.All Rights Reserved.
ウォルフキルが言うとおり、『HALO』は、ディズニープラスの「スター・ウォーズ」スピンオフ作品にも引けを取らない、大規模で野心的なSFシリーズだ。物語の舞台は26世紀。登場するのは人類、“スパルタン”と呼ばれるスーパーソルジャー、そして異星人コヴナント。これら3つのグループがせめぎ合うこのドラマで、主人公のマスターチーフことスパルタンを演じるのは、43歳のパブロ・シュレイバー(リーヴ・シュレイバーの母親違いの弟)だ。シュレイバーがこのゲームについてよく知るようになったのは、役をオファーされ、リサーチを始めてからだったという。
「ビデオゲームもテレビもない環境で育ったせいでね。高校生になってから、放課後に友達の家に寄ってやらせてもらったりしたけれど、キャンペーンモードしかやったことがなかった。ストーリーモードを知ったのは、この役をもらってからだよ。それは大きな発見だった。そこには長年の間に培われたたくさんの神話、優れた物語があったんだ。とても豊かな世界が。これは特別なものになるぞと興奮を感じたね」。
『HALO』 Halo (C) 2022 Microsoft Corporation.All Rights Reserved.
迫力たっぷりのアクションアドベンチャーであるのと同時に、今作は、マスターチーフの内面のジャーニーの話でもある。ハルゼイ博士(ナターシャ・マケルホーン)が開発したスーパーソルジャーであるマスターチーフは、ある少女との出会いをきっかけに、自分自身の中に存在する人間の部分を見つめていくことになるのだ。
「そこは今作の興味深いところのひとつ。ビデオゲームで、このキャラクターはプレイヤーのシンボル。マスターチーフは勇敢で、厳しい状況にあってもすごいことをやってみせるが、そのほかの部分はあえて曖昧(あいまい)になっていて、プレイする人に想像の余地を与えている。今作に挑むにあたり、僕らはゲームが持つ神話を分析し、彼にヒーローとしての肉付けをしていった。このシリーズで、彼は人間としての自分を知っていく。そして、自分の仕事を達成するためにヒューマニティをどこまで犠牲にするべきなのかを考えるようになる。本当の意味での愛国精神とは何なのかということも。そうやって空白だった部分が少しずつ埋められていくんだよ」。