草なぎ剛、出会って35年の盟友・香取慎吾は「普通の友達とは違って不思議な関係」
初めて演技に挑む無名の子役を主役に抜擢した青春映画『サバカン SABAKAN』に、出演とナレーションで華を添える草なぎ剛。第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた『ミッドナイトスワン』に続く新たな愛の物語として生み出された本作は、80年代の長崎を舞台に、“イルカを見るため”に冒険に出る2人の少年の友情やそれぞれの家族との愛情の日々を描く。草なぎが初演技に挑戦した際のことや少年時代の思い出、「いい遊び仲間」と称す盟友・香取慎吾との関係性や家族・友達など大切な人への想いを明かしてくれた。
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■演技初挑戦の子役2人を絶賛「映画史に残る名シーン」
ドラマ『半沢直樹(2020)』(TBS系)など、主にテレビ・舞台の脚本や演出を手掛けてきた金沢知樹が映画初監督を務める本作は、金沢監督と萩森淳の共同執筆による完全オリジナル作品。金沢監督が故郷の長崎県・長与町を題材にした物語を作りたいという思いから、10年以上前に自身の体験や創作を盛り込みmixiに書き込んでいた物語が、ラジオ小説を経て、オリジナル映画の制作へと繋がった。
映画『サバカン SABAKAN』場面写真 (C)2022 SABAKAN Film Partners
草なぎがナレーションを務めたラジオ小説は表に出ることはなかったが、金沢監督によると、草なぎはナレーションの際に涙を浮かべてくれていたという。草なぎは「ちゃんと読んだのにボツになって悲しくて。映画化を聞いた時は、なんで俺のラジオドラマじゃなくて映画なんだよという気持ちでした(笑)」と笑いを誘いつつ、「ラジオドラマを読んでる時は、本当に涙が出てきて。監督が書かれたお話が素晴らしかったので、映像化できてよかったなと思います。監督が初メガホンをとり、演技をしたことのない少年2人がメイン。すごく挑戦してますよね」と感慨深い様子で明かす。
長崎でロケを敢行した本作は、80年代という時代を通して映し出される貧しさの中にある人の温かさと優しさに触れた、すべての大人たちの魂を揺さぶる“あの頃の僕たちに背中を押される”物語。主演の番家一路や原田琥之佑の子役に加え、尾野真千子、竹原ピストル、貫地谷しほりが2人の親役で出演。草なぎは、主人公の大人になった姿を演じている。
映画『サバカン SABAKAN』場面写真 (C)2022 SABAKAN Film Partners
作品の感想を問うと、「最初に俺の出番少ないなと思ったね」とまたもやいたずらっ子な表情でぼやきつつも、「長崎の景色がキレイで、子役2人の思いや雰囲気を監督がうまくすくい取っていて、真千子ちゃんや竹原さんらが醸し出す両親の温かさもあって。僕も父ちゃんや母ちゃんにあんな風に抱きしめてもらったなぁと昔をすごく思い出しました。一番大事なことって、子供を抱きしめてあげることだなって。それだけやってれば、子供は育つんだと感じました」と優しい表情で目を細める。
子役の番家や原田は初めてとは思えないほどナチュラルな芝居を披露していたが、草なぎは「初めてだからこそできた演技かな。計算してなくて、純粋無垢でピュア。そこを画面に残すのは難しいと思うけど、金沢監督は自分で書いた本という強みや初メガホンでの情熱や熱意、長崎で合宿して撮ったことで、少年たちの感情を余すことなく収めていて。“ひと夏の思い出は永遠に続く”というメッセージがすごく伝わる作品を作りあげてる」と口に。「2人の子役が演じた別れからのくだりは、映画史に残る名シーン。ぜひとも日本中の皆さんに観ていただきたいです」と熱烈アピールする。
草なぎが初演技に挑んだのは、1988年に放送されたドラマ『あぶない少年III』(テレビ東京系)。「当時は早くアイスクリーム食べたい、早くファミコンしたいと思いながらやってましたね。よく怒られていたので、怖い大人がいっぱいいるなと思ってました(笑)」と笑いつつも、「度胸があるというより、元気だけでやっていたんです。今考えたら、周りに温かい人がいっぱいいて、支えてくれて。右も左も分からずやってた僕らを指導してくださいました」と周りへの感謝の思いを言葉にする。