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禁断の“羊”の物語 アイスランドでスマッシュヒットの異色作『LAMB/ラム』の監督に聞く

映画

■最初、アダにはセリフがあった

――アダはかわいらしいけれど、寡黙で謎めいたキャラクターでした。『スチュアート・リトル』や『パディントン』のように動物が話す映画はたくさんありますが、他の作品と異なるアプローチ、自ら表現をセーブした部分はありますか?

ヨハンソン監督:最初のシナリオでは、アダにもセリフがありました。でも、何も話さない方が彼女の思考や心情に興味が向く。他の動物たち、犬や猫、母羊の瞳にこちらの感情を投影してしまうようにね。彼らは人間よりも饒舌で、テレパシーのような能力で交信しているのではないか。感覚も鋭敏で、人が気づかない存在も感じ取る。アダも動物的な部分を多くすれば、より力強いキャラクターになると思ったんです。

――ちなみに、アダにはどんなセリフがあったんですか?

ヨハンソン監督:2つくらい。「イエス」とか「パパ、ママ」とか。まあ、簡単な言葉です。

映画『LAMB/ラム』より (C)2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON‐JAKSIK, HELGI JOHANNSSON
――アダの左手が人間で、右が羊なのはなぜですか?

ヨハンソン監督:今回はすべての場面で絵コンテを描いたのですが、アダは直感的にこの姿になりました。両親から受け継いだ特徴ですね。

――本作はアイスランドでスマッシュヒット、アカデミー賞国際長編部門のアイスランド代表作品に選ばれ、第74回カンヌ国際映画祭のある視点部門では「Prize of Originality」を受賞。華々しい成功を収めました。その理由をズバリ、分析するのなら?

ヨハンソン監督:まったく分かりません(笑)。正直、予想もしなかった展開で。世界各国で多くの観客が劇場で本作を観てくれた。アメリカで評価されたのもうれしい驚きでした。

■尊敬する映画監督は?

――監督の経歴について教えてください。過去に『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの大作で特殊効果を手掛けていますが、映画界に入ったきっかけは?

ヨハンソン監督:ひとことで言えば、僕は根っからの映画好き。アイスランドで映画学校に通い、卒業後すぐ業界に入り、素晴らしい出会いと良縁に恵まれ、世界を旅してきた。さまざまな部署で働き、現場で多くのことを学びました。

――影響を受けた監督、好きな映画人は? 『LAMB/ラム』は、どこかイングマール・ベルイマンを連想させますね。

ヨハンソン監督:ホントですか? 実はちょうど昨日、『ベルイマン監督の 恥』を観たのでうれしいです。尊敬する監督は大勢いるけど、タル・ベーラにリン・ラムジー、カルロス・レイガダス、アピチャッポン・ウィーラセタクンかな。

映画『LAMB/ラム』より (C)2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON‐JAKSIK, HELGI JOHANNSSON
――夫婦とアダの生活に変化をもたらす風来坊の弟が、元ミュージシャンなのも面白かったです。彼のビデオクリップがやけに凝っていましたが…。

ヨハンソン監督:あっ、それはありがとう!(笑) ひと昔前のレトロで、ちょっとダサい仕上がりを狙いました。ロケハンや楽曲にもこだわってね。告白すると、僕はずっとMTVの監督を夢見ていて(笑)。ぜひ、その場面にも注目して下さい。

(取材・文:山崎圭司)

 映画『LAMB/ラム』は公開中。

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