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羊ではない“何か”アダちゃんが産まれるまで 『LAMB/ラム』制作秘話&デザインスケッチ公開

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映画『LAMB/ラム』アダのプロダクションデザインスケッチ
映画『LAMB/ラム』アダのプロダクションデザインスケッチ(C)2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON‐JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON

 映画『LAMB/ラム』より、羊から産まれた羊ではない“何か”=“アダ”はどのようにして誕生したのか、本作が長編デビューとなるヴァルディミール・ヨハンソン監督から着想や撮影秘話が明かされた。

【写真】監督直筆、アダちゃんのデザインスケッチ

 本作は、アイスランドの人里離れた田舎で暮らす羊飼いの夫婦が、羊から産まれた“羊ではない何か”を育てていくネイチャー・スリラー。

 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの特殊効果を担当したヴァルディミール・ヨハンソンの長編監督デビュー作で、アイスランドの作家・詩人として知られ、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の歌劇脚本や『ライトハウス』のロバート・エガース監督の新作『The Northman(原題)』でも脚本を手掛けるショーンがヨハンソンと共同で脚本を執筆するなど、新進気鋭の作家たちにより制作された。そして『プロメテウス』、『ミレニアム』シリーズで知られるノオミ・ラパスが主演・製作総指揮を務める。

 衝撃的な設定の中にもリアリティーを持った世界観を構築したことで世界から称賛を浴び、第74回カンヌ国際映画祭のある視点部門でPrize of Originalityを受賞、アカデミー賞国際長編部門アイスランド代表作品にも選出された本作。

 幼少期に祖父母の羊牧場で時間を過ごすことが多かった監督にとって、羊は身近な存在だったようで「アダのインスピレーションは、祖父母が牧羊をしていたことから来ていると思います」と告白。アダのビジュアルについては「美しくて、面倒を見たくなる姿を心がけて作りました」とのことで、そんな監督のアイデアが落とし込まれたアダのプロダクションデザインスケッチ3点が初公開された。

 物語を作り上げるために、ヨハンソン監督はまず画像や自身のドローイングなどを集めたムードボードとグラフィックノベルの制作に取り掛かった。監督にとって“ビジュアル”は映画作りの出発点であり、物語を伝える上で最も重要な要素なのだという。今回は監督が描いた本作のストーリーボードの一部も解禁された。

 また、アダの撮影においては、これまで『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン2(2012)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)など数々の特殊効果を担当してきた監督の手腕が存分に発揮されている。アダはどのように撮影されたのか。「現場ではまずパペットで撮影し、次に同じシーンを子どもで撮影、最後に羊を入れて撮影しました。なるべく撮影した映像を使って表現したかったので、VFXを使わないように心がけていました。ただし合成した際に、頭が大きく動いてしまっていたところはVFXで羊の頭を作りました。そのように頭と体の連動に気をつけながら撮影しました」と監督。工程を分け、アダの表現に時間と創意工夫が重ねられたという撮影秘話を明かした。

 アダを描く点で注意したのは「映画を見ている人に『アダの姿をはっきりと見せられないんだな』と思わせないこと」だという。映画では描くことが難しい部分に、そもそもカメラを向けないで済ますことも可能だが、本作では妥協をしなかった。もくろみ通り、アダの衝撃的でありながらリアルな存在感はじわじわと日本の観客の中でも話題を呼んでいる。

 映画『LAMB/ラム』は公開中。

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