クランクイン!

  • クラインイン!トレンド

小泉今日子「みんなを本気で楽しませたい」 デビュー40年を超えても走り続ける原動力

エンタメ

小泉今日子
小泉今日子 クランクイン! 写真:高野広美

 デビューから41年、今なお数多くの映画、ドラマ、舞台で活躍を続ける小泉今日子。50歳を前に2015年には、自身が代表取締役を務める舞台・音楽イベントの制作会社「株式会社明後日」を立ち上げ、現在はプロデューサー業もこなす。7月27日から上演される舞台『ピエタ』も、小泉が原作小説に惚れ込んで舞台化を実現させた作品だ。同作の稽古真っ只中という小泉は、「いい空気の稽古場」と笑顔を見せる。本作について、そして、「次に繋がることがしたい」と話す小泉の今の活動について聞いた。

【写真】“キョンキョンスマイル”の輝きは変わらず! 小泉今日子、撮り下ろしショット

◆「このすてきな物語を知ってほしい」――12年越しの舞台化

――「ピエタ」は小泉さん念願の舞台化と聞いています。原作は大島真寿美さんによる同名小説ですが、どんなところに魅力を感じたのですか。

小泉:大島さんの小説を読んだのは2011年のことなので、もう12年くらい前のことですが…当時、私は40代で、この物語の中の女性たちの心情が自分にピタッとハマった感覚があったんですよ。物語の中にはフェミニズム的なテーマを感じ、女性にしか書けない物語だと思いました。

18世紀のヴェネツィア、作曲家のヴィヴァルディがピエタ慈善院で指導をしているところからお話が始まるのですが、すごく大きな世界からスーッと小さな光になっていく世界観がすごく好きで。自分も幼い頃から大切にしているものにずっと支えられてきた気がしているので、この物語で描かれていることにすごく共感しました。このすてきな物語をもっといろんな方に知ってほしいと思い、こうした世界を舞台で描けたら、すごく私らしいのではと考えたんです。

当時は、きっとどこかに企画を持っていって、叶えてもらうんだろうなんてぼんやり思っていたんですが、その4年後に会社(株式会社明後日)を作ることになって、それなら自分でできると思い、今に至っています。やっと実現するという感覚です。

――もともと2020年に上演予定でしたが、コロナ禍で企画変更をし、その時はリーディングで上演されたという経緯もありますから、まさに“やっと実現”ですね。

小泉:実は、2020年以前にも何度かこの作品を上演しようとチャレンジしているのですが、その度に前に進まなくて。原作者の大島さんや出版社さんには随分早い段階からご相談していて、その度に応援してくださっていたので、やっとではあります。ただ、私自身は悲観的な気持ちになったことはなく、きっと何かピースが揃っていないんだろうなという感覚だったんです。コロナの時もそうした思いでした。それで、2023年の今年上演できるというのは、作品が“ここなんです”と選んでくれた気がしています。コロナ前とコロナ後では人々の意識みたいなものも少し変わったと思うんですが、今だからこそ胸に届くようなセリフや場面があるのではないかと感じています。

asatte produce『ピエタ』メインビジュアル
――音楽家・ヴィヴァルディに関わる女性たちのお話ということもあり、音楽面も注目の作品だと思います。

小泉:ヴァイオリンや鍵盤楽器はもちろん、小鳥の鳴き声などSE的な音まで全て生演奏です。それに、ジロー嬢を演じてくださる橋本朗子さんは、ソプラノ歌手の方なんですよ。本多劇場で本物のソプラノの歌が聴けたらすごく贅沢だなと思って、インターネットを使って見つけた方なんです。彼女自身もクラシック音楽を多角的に広めたいという意志を持ってさまざまな活動をされていたので、もしかしたらという思いでお会いして、挑戦してくださることになりました。実際にお稽古が始まると、吸収が早くて…やはり歌で表現をされている方なので、セリフを話して表現することも楽しそうにやってくださるんですよ。すごくうれしいです。

――贅沢な時間になりますね。

小泉:私もあまりクラシックコンサートやオペラは観たことがないのですが、きっと観たら豊かな気持ちになるんだろうと思います。そんな入り口を少しでも私も感じたいし、お客さんにも感じてもらえたらと思います。


――今回、小泉さんが演じるエミーリアは、ピエタ慈善院で育ち、今もそこで働く女性です。どのようなところを意識して演じたいですか。

小泉:エミーリアは、この物語を船に乗せて運んでいく役割を担っていますが、決して主役というわけではないんですよ。さまざまな女性に出会い、話を聞いていく。そうした中で、自分の問題も解決していくというような役なので、あまり考えすぎずに稽古場に来た方がいいのではないかと思って、稽古をしています。もちろんピエタで育った、事務方の女性というのはベースにありますし、話し方や声の出し方、立ち姿といったプランはありますが、その上で、今、お稽古でそれぞれの女性たちとやりとりをして反応するというのがすごく楽しいです。クラウディアはこんなふうに話すんだとか、ヴェロニカはこんなに強い人なんだとか、反応としての演技を楽しんでいるところです。

――舞台化を考えた時から、小泉さんご自身がエミーリアを演じようと思っていたんですか。

小泉:実は最初の頃は、エミーリアは別の方にお願いしようと思い、私は別の役での出演を考えていました。ですが、2020年の時点でいろいろとうまくいかないことなどがあり、キャスティングに行き詰まりを感じた時に、「待って。私がエミーリアやるっていうのはアリ?」となって(笑)。私が普段、オファー頂く役は、勝ち気だったり、暴れん坊な人物だったり、どちらかというと色気があるような役が多いんですよ。なので、よくよく考えてみたら、エミーリアのような役はあまりやっていないんです。若い時はありましたが、年齢を重ねてからは、お母さん役がきても『あまちゃん』のような役で(笑)。そういう意味でも、新鮮に楽しめるかなとも思ったんです。そう考えたら、スパッとピースがハマっていったんですよ。きっとこれが正解だったのかなと思います。

次ページ

◆迷った時に思い出すのは幼い頃の記憶

1ページ(全3ページ中)

この記事の写真を見る

関連記事

あわせて読みたい


最新ニュース

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る