岡田将生、『虎に翼』で新たなチャレンジ「“クセがない”航一と真っ向から戦っている」
映画『ラストマイル』場面写真 (C)2024 映画『ラストマイル』製作委員会
塚原監督と野木氏、新井プロデューサーがタッグを組んだ作品の魅力は、「エンタメでありつつ、社会的な問題を僕たちに提示してくれるところ」だと分析した岡田。その言葉通り、本作でも連続爆破事件の謎がハラハラとする展開と共に描かれるだけでなく、日々心を込めて働く市井の人々の姿や、一方で過重労働が引き起こす問題も浮き彫りとなる。映画を観終わった後には、物語の余韻に浸ると同時に「働き方」について考えさせられる人も多いかもしれない。2006年に17歳で俳優デビューした岡田にとって、働き方に悩んだ時期はあるだろうか。
すると岡田は「20代前半は、どこか壊れかけていたかもしれません」と告白。「次々と想像もしていなかったような大きな仕事をいただいたり、すごい方々とお仕事をご一緒するプレッシャーもある。きちんと立ち止まって考える時間も少ないし、どこかちゃんと息ができていないような、うまく人と会話ができていないような時期がありました。目まぐるしく変化していく環境を、うまく受け入れることができずにいたんだと思います。この仕事を続けていけるのだろうかと思うこともありましたし、そういう状況から目を逸らしたり、逃避しているような瞬間も多々ありました。自分のキャパって、意外と分からないものですよね」と苦しい時期を振り返り、「20代後半くらいから、少しずつそれが分かるようになって。自分のペースで役者業と向き合えるようになりました」と明かす。
助けになったのは、家族や先輩の存在だ。「家族はいつも支えてくれましたね。あとは小栗旬さんや生田斗真さんなど、上の世代の方がいつも時間を見つけて会ってくださった。『一回、止まれ』という時もあれば、『走れ』とアドバイスをくれることもあって。頼もしい先輩たちが話を聞いてくれるだけでも、ものすごく心強かったです」と感謝しきり。
「僕も少しずつ年下の子たちと共演する機会も増えてきた。先輩に支えていただいてきたからこそ、僕も若い世代の方たちが悩みを抱えていたら、気づいてあげられるような存在になりたいなと思っています。今の20代前半の役者さんたちって、悩みなども乗り越えていけるような姿を目にすることもあって本当にすごいな、頼もしいなと思うのですが、自分でも気づかないところでストレスを抱えてしまっている人もいるかもしれません。日本のエンタメ業界も働き方改革が進みつつありますが、そういった問題意識を持ったり、若い世代を支えていけるような意識を持つことも大事だなと思っています」ともがいた過去があるからこそ、しっかりと地に足をつけ、物事を俯瞰しながら歩みを進めている。