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川栄李奈、怒りや悔しさもモチベーションに突き進んだ芝居の道 2025年はAKB48卒業から10年&30歳と節目の年に

映画

◆AKB48での経験、朝ドラ、ロンドン公演…すべてを糧に30代へ



 俳優を続ける上で欠かせなかったのは、「ご縁を大切にすること」だと力を込めた川栄。「その都度、一人一人ときちんと向き合って大切に関係を築いていくことが、次につながっていくものなのかなと思っています」と思いを巡らせる中、ひとつの転機となったのはヒロインを務めた2021年後期放送のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』だ。

 「20代前半は、とにかくがむしゃらで。役について深く考えるというよりは、『お芝居をしたい!』という気持ちで進んでいました。20代後半に差し掛かって、朝ドラのヒロインをやらせていただいて。その頃から主演として現場に立つことや、役について考えたり、台本を読み込む力を身につけることの大切さを実感するようになりました」と進化を遂げてきた様子だが、『カムカムエヴリバディ』で共演した深津絵里との出会いはとても大きなものになったという。「内野さんのように、深津さんも周りの人が動きやすいようにいろいろな提案をしてくださるんです。お互いに意見を出し合いながら、いい作品をつくっていく。朝ドラで深津さんの姿を見てからは、そういった意識を持つことが大事なんだなと強く思うようになりました」とまっすぐな瞳を見せる。

 今年は宮崎駿の不朽の名作を舞台化した『千と千尋の神隠しSpirited Away』で、橋本環奈、上白石萌音、福地桃子と共に主人公の千尋役として日本全国をまわり、ロンドン公演にも参加した。オーディションで千尋役を射止めた川栄だが、「『千と千尋の神隠し』はカンパニーがとても大きくて、しかも長期間の公演なので、怪我をしてしまったり、疲れが出てきてしまうことも考えられます。そんな中、主演としてみんなを支えるためにはどうしたらいいんだろうと考えていました。思えばAKB48という大人数の中で暮らしていたからこそ、みんなのことを気に掛けるようになったのかもしれません。それは私の長所なのかも」とにっこり。「AKB48では、礼儀や対応力など本当にたくさんのことを学びました。そのすべてが今に活きています」と感謝をにじませながら、「一人ではない。みんなといいものを作るんだ」という気持ちがどんどん膨らんできた10年だと話す。

 ロンドン公演では「人生観が変わった」とも。「ロンドンのお客さんから、スタンディングオベーションと『フー!』という大歓声をいただいて。毎公演、満席で大きな拍手をいただきました。ロンドンの皆さんはきっと川栄李奈という人間のことを知らなくて、私に子どもがいるということも知らないはず。まったく未知の状態から“千尋”という10歳の女の子として見てくれて、歓声を送ってくださった。すごくうれしくて、俳優というお仕事は本当に楽しいものだなと思いました」と喜びをあふれさせる。


 すべてを糧に、30代へと足を踏み入れる。川栄は「ありがたいことに20代はとても忙しくさせていただいて。この頃のことは記憶にないなと思う時期もあって」と苦笑いを見せながら、「30代はより一つ一つのお仕事を丁寧に。もう少し余裕を持ちながら、自分自身も悔いがないようなお仕事をしたいです」と希望。「肌荒れとか風邪が治りにくくなってきてしまったような気もして…。まずは健康第一ですね」とはにかみつつ、「AKB48を辞める時に、“朝ドラのヒロインになる”、“大河ドラマに出演する”、“映画で賞を獲る”という3つの目標を掲げました。“映画で賞を獲る”という夢が叶えられていないので、30代はぜひその夢を叶えたいです!」と晴れやかな表情で宣言していた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』は11月22日より公開。

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