「昔から伝えたいことは何も変わっていないはず」 吉柳咲良が語る実写『白雪姫』の魅力
吉柳:これからもミュージカルにたくさん出たいです。初出演作品もミュージカルの『ピーター・パン』でしたし、ミュージカルに出演するたびに、すごく大きな何かを得られているような気がするんです。ミュージカルへの探究心や熱意は、自分の中で何よりも大きいのを感じていたので、まだまだやれることはあるし、今回レイチェルさんの歌声を間近で聞いて、わたしもレイチェルさんのような表現力で歌えるようになりたいと憧れを抱きました。
実はレイチェルさんとは、『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役を務めたという共通点がありまして、同じ役を演じるのは今回で2度目なんです。なのでいつかわたしも、レイチェルさんが演じていた『ウエスト・サイド・ストーリー』のマリアを演じられたらと思っています。ミュージカルが日本にもっともっと浸透して、たくさんの作品に出演できたらうれしいですね。
――レイチェルさんの歌声を間近で聞き、『御上先生』では同世代の役者と共演した吉柳さんにとって、今年は刺激の多い年ではないかと推測するのですが、もし『白雪姫』の女王みたいに嫉妬やうらやましいという感情を抱いた時、吉柳さんは、これらの感情とどう向き合いますか?
吉柳:わたしは基本的にネガティブな人間なので、劣等感をすごく抱いてきたし、あまり自分に自信があるタイプではないんです。でも、最終的に自分の実力を伸ばすことでしか、戦う土俵には立てないと思っているので、劣等感を“憧れ”に変えていくことがすごく大切だと思っています。「うらやましい」と思うことは簡単で、その先の自分に何ができるかによって、未来は変わっていく気がしていて…。“劣等感を抱く”って言い方を変えれば、その人のすごさを認めているということなので、その柔軟さを生かして、「何をしているからすごいのか」「それをどこまで自分に取り入れていけるか」を考えて、その人への理解を深めることが、自分の成長にもつながるのではないかと思います。嫉妬だったり悔しさを抱いた時は、逆にその人のお芝居や歌を研究するようにすれば、そこから得られるものって必ずあると思うんです。悔しいと思っているだけでは、先に進めないので、その感情を超えていかなきゃいけないと思います。
――20歳で、その考え方にたどり着いたのがうらやましいです…。さて、これまでの実写映画化されたディズニー作品は、不朽の名作をスクリーンに蘇らせるのみならず、新しい時代ならではのメッセージを感じられるのも魅力でした。今回の『白雪姫』の魅力を、吉柳さんはどう捉えていますか?
吉柳:アニメーションの『白雪姫』から掲げているテーマが大きく変わっているわけではなく、実写映画化されたからこそ、世界観が鮮明になり、平面だったものが球体として見えるようになったというような感覚に近いと思います。本編内では、劇中歌「夢に見る ~Waiting On A Wish~」が何度か流れるのですが、そのたびに白雪姫の心情が前向きに変わり、気持ちの変化が繊細に表現されているんです。アニメーションでは見えなかった部分が、ミュージカル版では生っぽく、より人間らしく感じられるようになった気がします。昔から伝えたいことは何も変わっていないはずで、白雪姫が持つ、歩み出す勇気や、お互いを思いやる気持ち、思慮深さ、優しさは、どの時代においても大切なことだと改めて感じさせてくれます。
あと、レイチェルさんが本当にステキで、きっと皆さん、大好きになると思います。わたしが1番ステキだなと思ったのが彼女の笑顔で、本当にキュートで、ちょっとした仕草までかわいらしいんです。レイチェルさんが持つ人柄やチャーミングさが、ラストに向けてどんどん出てくるので、たくさんの方にキュンキュンしてほしいなと思います。
(取材・文:阿部桜子 写真:上野留加)
映画『白雪姫』は全国公開中。