阿部サダヲ×松たか子、共通点は“萌えポイント” 「何を考えているのか分からない人」にビビッ!
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――松さんからご覧になって、阿部さんのかわいらしい部分、チャーミングな部分はどんなところですか?
阿部:俺ってかわいらしい?
松:かわいらしいと思います。でも一方で怖いですよね(笑)。私が尊敬する人って、目の奥が笑っていないというか……。尊敬と恐怖と……大好きな感じです。
阿部:(阿部が所属する大人計画主宰の)松尾(スズキ)イズムが入っている(笑)。
阿部サダヲ
松:親しみやすく、共感を呼ぶような話し方をされているようで、実はものすごく孤高の存在感を持っているというか。「真似したら怪我をするぞ」というようなキャラクターを作られる方だなと(笑)。だから、見ている人が「分かる、分かる」って言えば言うほど、するするっとすり抜けていきそうな、捕まらなさそうな感じがします。
――試写会イベントで松さんが「何度共演してもミステリアスで分からない部分がある」とおっしゃっていた部分はそういうところなんですね?
松:そうです。でも阿部さんは分からなくていいんです。分からなくていい存在でいてほしいです(笑)。
――阿部さんご自身は、「目の奥が笑っていない」というご指摘は自覚があるのでしょうか?
阿部:常に怒りを感じているんです、何かに(笑)。だから、そう出ちゃうのかもしれないです……。でも実際は笑っている時は笑っていますからね。現場も楽しいですし、役を演じている時は楽しいです。もしかしたら普段の方が、そういう風に見えてしまうのかもしれないですね。
――阿部さんは、舞台でキャリアをスタートされた頃は狂気的な役が多かった印象ですが、今や“お茶の間のアイドル”のような、大人気の存在だと思いますが……。
阿部:アイドル? 1回もそんなこと言われたことないですけど(笑)。
――初期はキレキレなキャラクターを演じることも多かったですが、こうして多面的なイメージを持たれていることについて、俳優としてはいかがですか?
阿部:それはもう、役柄ですからね。最初の頃は、いきなりお茶の間で受けるような役はやっていなかったので。多分、作家さんにも僕がそのように見えていたんでしょうね。だからそういう役をいただいていたんだと思います。尖っていたんでしょうしね。何か「ぶち壊してやろう」みたいな(笑)。怒りでね。「なんだ! 何が小劇場だ!」って(笑)。でも、そういう時でも松さんは優しかったです。初めて楽屋にごあいさつに行った時も、すごく優しくて。「なんて優しい人がいるんだ」って。すごい女優さんだし、ちょっと怖いイメージがあったのですが、とても優しかった。
――その頃からの信頼関係があるからこそ、どんな役でも安心して共演できるわけですね。
阿部:そうですね。以前ご一緒したドラマ『スイッチ』(テレビ朝日系)の時も、アメリカのアカデミー賞で(映画『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー 〜ありのままで〜」を)歌った次の日くらいに現場に帰って来られたんです。すごいことを成し遂(と)げてきた人じゃないですか。でもとてもそんなすごいことをやってきたとは思えないようなニュートラルな感じで現場に来るから、すごいなと。「昨日アカデミー賞で歌ってきたのよ、私」みたいな雰囲気もまったくないですからね。
松たか子
松:必死だったんです、あの時は本当に(笑)。