内山昂輝&津田健次郎、『ひゃくえむ。』は“哲学するスポ根”「異色で独特な作品」
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――そんなアフレコを経て、映像が完成しました。出来上がった作品を見ての感想もお願いします。
内山:圧倒されました。アニメ表現の良さを活かしたシーンもあれば、ロトスコープ(※実写映像をフレームごとにトレースして、アニメーションを作成する技法)を用いて実写っぽさを狙って作成されたシーンもあります。その見せ方はもちろん、カメラワークも。一度見ただけでは咀嚼しきれない、本当にすごい作品が生まれたと思いました。
エンドロールを見て驚いたのですが、パートごとに作画スタッフさんが分かれていて、きっといろんな手法が導入されていたんでしょうね。それぞれのシーンがどうやって作られているのかなど、メイキングが気になってしまいました。
津田:見せ方などの作画クオリティはもちろん、ストーリー自体もすごく面白かったです。アーティスティックな表現方法の中で、しっかりとエンタメがあり、さらにスポーツ作品らしい感動もある。1つのカラーで括れない面白さを持った作品になっていると思いました。
津田健次郎
――走るシーンには、迫力と共に「100m」というたった10秒の一瞬の輝きの儚さも感じられました。それを表現できるのは、本当にすごいと。
津田:100m、たった10秒だからこそ感動が生まれるという部分は、この企画を立ち上げた時点で「絶対に(観客に)感じさせなきゃいけない」とテーマの1つにあったと思います。それを表現するために、実写で一度撮ってからアニメに起こすという。ある種オーソドックスな作り方ですよね。それぞれの走りへのスポットの当て方がドラマ的なのは、ロトスコープ手法で作成されたからこそだったのかなと思います。
内山:アフレコの時も、実写の俳優さんの顔がうつった静止画を見ながら声を当てたりしていました。
内山昂輝
――「100mを誰よりも速く走れば、全部解決する」という本作においての名言があります。お2人が「これをすれば全部解決する」と思っている行動はありますか?
内山:部屋の片付けです。
津田:散らかってるの?
内山:そうなんです。汚くはないのですが、物が乱雑に散らかっている状態で。なかなか片付かないんですよね。これを仕舞ってキレイに片付けば、家をもっと有効に使えるのにと思ってはいるのですが……いかんせん片付かない(笑)。今ダイニングテーブルで仕事のことをやっているので、ご飯を食べる時にいちいちパソコンをどかして食べているんですよ。
津田:それは面倒くさいね(笑)。
内山:仕事机を置きたいんです。ちゃんとした椅子も欲しいし、やっぱり部屋を片付けるとすべてが解決する(笑)!
津田:僕はなんだろうなぁ。すべてが解決するわけではないですが、しっかり芝居に集中できたら、雑念が飛ぶような気がします。
内山:芝居をすると忘れられる?
津田:忘れたいから芝居をするんでしょうね。本当は芝居だけやっていられたらいいのですが……そうもいかないので。
内山:忘れたいものが芝居にまつわる悩みだったらどうするんですか?
津田:芝居で悩むこともありますが、やっていると楽しいんですよね。悩みも楽しんで解決できるので、やっぱり芝居がすべてを解決してくれます。
(左から)内山昂輝、津田健次郎
(取材・文:米田果織 写真:吉野庫之介)
劇場長編アニメーション『ひゃくえむ。』は、9月19日より全国公開。