筧美和子、初主演作で挑んだ博多弁の習得は“カラオケ気分”で! 役作りは「内面を深掘りできる時間」
大牟田市で約1ヵ月間実施された本作の撮影は、地元の協力がなくてはならないものだった。「地元の方々がすごく協力的で、撮影のサポートもしていただきました。どこに行っても皆さんフレンドリーで、町の人と一緒に映画を作っている感覚でした」と語る筧に現地での思い出を伺うと、「大牟田市にあるおいしいラーメン屋さんを紹介してもらいました! 地元で有名なお店が3店舗あって、それを制覇してほしいと。『ラーメン食べたか~?』ってすごく気にしてくれていました(笑)」と地元ならではの交流エピソードを教えてくれた。
「昔から変わらない景色が残る昭和風情あふれる町で生活しながら撮影できたことがすごくよかったです。これが東京にある自分の家と行き来する生活だったら、また全然違ったと思いますね。泊まり込みだと集中できるので、大牟田の町を感じながら撮影に没頭できました」。
『オオムタアツシの青春』場面写真 (C)2025「オオムタアツシの青春」製作委員会
友人に裏切られ、夢の実現が途絶えかけるも、司や静男に支えられ再び前を向くことができた亜美と、そんな亜美を福山や陣内ら共演者をはじめ地元の人たちのサポートのもと演じきった筧の様子から、“出会い”と“助け合い”は本作のキーワードとも言えるだろう。これにちなみ、筧に、これまでの人生で助けになったと思う出会いを聞いてみると、2018年公開の映画『犬猿』で監督を務めた吉田恵輔との出会いは、自身の俳優人生においてターニングポイントになったと語る。「演技経験が少ない10代の時に出演させてもらって、すごく貴重な体験をさせていただきました。自分が演技をやっていきたいと決心する大きなきっかけになったと思っています」。
「演技経験があまりなかった私を採用してくれた吉田恵輔監督との出会いはすごく大きいです。真剣に作品を作られている大人たちを間近で見ることができたいい環境でしたし、その中で技術とか何もない私を信用して自由にやらせてくださっていたことにも感動しました。自由にやらせることってすごく勇気がいることだと思いますし、自分にとって(演技を)続けたいと思えた瞬間だったので、『犬猿』の現場を経験することができてすごく良かったです」と自身の俳優としてのルーツを辿る筧の姿は、初心を忘れず、俳優としてまだまだ経験を積んでいきたいという思いを感じる力強いものだった。
(取材・文:杉崎絵奈 写真:上野留加)
映画『オオムタアツシの青春』は全国公開中。