阿部サダヲ&松たか子「ドラマのイメージは1回忘れて」 舞台上ならではの互いの魅力とは
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――今回は松さんが演歌歌手、阿部さんがミュージカル俳優という役どころで、歌も大きな見どころですね。
松:私、演歌を歌うとしたら「津軽海峡・冬景色」です。歌ったことがあるのはそれぐらいという意味です(笑)。演歌歌手役は初めてなので楽しみです。本番ではたぶん着物も着ると思うので。
阿部サダヲ
阿部:僕はミュージカル俳優役ですけど、歌い上げる系の本当のミュージカルって、ちゃんと見たことがないのかもしれないです。
松:ええ! そうなんですか?
阿部:僕が見たのは松さんが出演している『ラ・マンチャの男』くらいかな。松さんが出ていたから見に行きましたよ。あとは劇団四季も見ていないし…。大人計画がミュージカルをやるので、そっちが本拠地なんです。だから松尾(スズキ)さんに「あんまりちゃんとしたのは見ない方がいい」って言われてて(笑)。とらわれることなく、知らないままでいます。でも、井上芳雄くんと共演した時は歌い方がすごいなと思ったので、色々聞いておこうかなとは思っています。
松たか子
――改めて、お互いの舞台俳優としての魅力をどんなところに感じますか?
松:舞台でも何でも素敵ですけど、阿部さんのお芝居を観ると、本当に切ない気持ちになるんです。(阿部が主人公・フクスケを演じた舞台)『ふくすけ』を観た時は、「男だったら絶対この役をやりたい!」と思うほどの衝撃を受けましたし、松尾さんの作品に出られている時の阿部さんを観ると、松尾さんから阿部さんへの深い愛を感じて、それがまた切なく見える。そういう印象がすごくあります。宮藤さんのこともよくご存知ですし、今回は阿部さんを見ながら勉強させてもらおうと思っています。
阿部:いや、もう声ですよね。松さんの声の通り方は信じられない。野田(秀樹)さんの舞台(『逆鱗』)で一緒になった時、その声にみんな感動してシーンとしちゃって。「もう稽古終わりにしましょう」みたいな(笑)。僕の中では「今日はもういいじゃない? この声聴いたから」っていう感じでした。本当にすごい。滑舌も素晴らしいし、歌もすごいじゃないですか。アカデミー賞で歌ってるんですからね。それを忘れちゃいけない(笑)。