月城かなと、宝塚退団後は挑戦と発見の日々「毎作品新しい出会いがある環境が新鮮で刺激的」

――宝塚を退団して1年3ヵ月。新しい環境でのお仕事はいかがですか?
月城:毎作品空気感が違うということに少し慣れてきた感じです。「あ、今回はこんな空気で撮っていくんだ」と、それを楽しめるようになってきたかなと思います。
今までと違って毎回新しい方とお仕事する機会が多くなったので、ある意味新鮮ですね。今回の作品のタイトルじゃないですけど、もしかしたらもうご一緒することがないかもしれないから、ご一緒できる3ヵ月、4ヵ月を大事にしようという気持ちがより強くなってきたところもあります。
――連ドラデビューとなった『キャスター』では、SNSで「あのきれいな人は誰だ?」「さすが宝塚のトップスター!」と大きな話題を集めました。宝塚時代から月城さんを知っている身としては、「そうでしょう~?」と自慢したくなる気持ちと、「あぁ、ついに世間に見つかってしまった…」という気持ちがない交ぜになりました(笑)。そうした反響を実感されたりはしますか? 街で声を掛けられたり…。
月城:全然ないです(笑)。街でも誰にも気づかれないですね。いや、気づいてほしいとかじゃなくてですけど(笑)。
――(笑)。退団直後にお話を聞いた時は、いろいろな引き出しを増やしていきたいとお話されていました。
月城:新しい方と出会うという機会が本当に増えたので、この方はこういうお芝居をされるんだ、今回はこういう撮り方をするんだと毎回勉強することも多いし、驚くことも多いです。シーンによっても毎回見せる顔も違われたりするので、「今日のシーンではこういうところを出されるんだ!」と刺激にもなりますね。短い間しかみなさんとご一緒できないけれど、一緒にお芝居することで人となりをちょっと知れたり、こういうところが素敵だなと思ったりがあって刺激的な日々を過ごしています。
自分としてはずっと必死にやってますね。作品によって求められるものが違ったりするので、毎回本当にドキドキしながら臨んでいる感じです。慣れることあるのかなっていう感じで…。
もちろん宝塚時代とは性別も違うから当然なのですが、今までやったことのない役ばかりで、役が違うからこそ、その役ごとに得られるものもまた違ってくるというか。こういう感情もあるんだと、今まで舞台では感じられなかったものもいっぱい発見しています。

――退団後、コンサートに、映画の吹き替え、ドラマも今回で3本目、さらには展覧会の音声ガイドなど、活躍は多岐にわたります。
月城:振り返ってみるといろいろ挑戦したなと思います。でもどのお仕事も次に活かせることがそれぞれあるなと思って。声の仕事はドラマとは関係ないとかじゃなくて、全部がその時やらなきゃいけないお仕事につながっている気がするので、これからもどんなことが待っているのか楽しみでもあり、ドキドキもあります。
――前回、退団後にぬか漬けを始めてすぐに諦めたというお話がありましたが、ほかに何か始められたことは?
月城:ぬか漬けは瞬殺でしたね(笑)。あの時はちょうど、新しいことを何かしなきゃと自分で思っていたんですよね。
これから始めたいことになるんですけど、舞台と比べて今は時間が不規則なことが多いので、早く寝られる術を身に付けたいです。明日の朝早いってなってもなかなか早く寝られないんですよ。何か考え事をしちゃって寝られないことが多々あるので、すっと眠れる方法を探すというのが今の課題です。
――古巣の宝塚でいうと、現5組のトップスターは、雪組でご一緒だった永久輝せあさん、月組でご一緒だった鳳月杏さん、暁千星さん、同期で同県出身の朝美絢さん、桜木みなとさん、と、月城さんとご縁のある方が勢ぞろいされています。
月城:確かに! なかなか直接観に行く機会がなくって残念なのですが、自分としても新しい世界で一生懸命頑張ることが宝塚への恩返しになるかなと思っているので、「観に行きたい」という気持ちをグッと抑えながら仕事を頑張っています。
今もなお現役で頑張ってる同期がいるっていうのは励みになりますし、卒業して初めて分かったのですが、現役でいる間に少しでも、楽しく、いい時間を過ごしてほしいなっていう思いが常にあります。みんなのそんな姿を見て、自分としてももっともっと頑張らないといけないなと思っています。
(取材・文:田中ハルマ 写真:米玉利朋子[G.P. FLAG inc])
ドラマ『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-』は、カンテレ・フジテレビ系にて毎週月曜22時放送。
月城かなとが出演するTVer限定スピンオフドラマ『愛と妄想のロンド』第2話「新・御厨家の味」は、10月27日本編終了後配信。

