悠木碧「自分の引き出しにはない芝居が必要だった」 “師匠たち”から受け取ったもので挑んだ『羅小黒戦記2』
中国発のアニメ映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』の第2弾となる『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』の日本語字幕版および日本語吹替版として、11月7日に同時公開される。とある妖精会館への襲撃事件をきっかけに、師匠・ムゲンと引き離されたシャオヘイが、姉弟子のルーイエと共に真実を求めて新たな冒険へ――。思いがけない敵との対峙を通して、大きな選択を迫られる物語が描かれる。本作でルーイエ役として新たに参加したのが、声優の悠木碧。「自分の引き出しにはない芝居が必要だった」と語る彼女に役作りへの挑戦と作品への想いを聞いた。
【写真】悠木碧のクールな撮りおろし&映画『羅小黒戦記2』場面カットが満載!(23枚)
■悠木碧はムゲン推し! “信念のあるツンデレ”のルーイエも「タイプでした(笑)」
――中国本土だけでなく、日本でも吹替版が大ヒットした前作。そんな作品の続編に出演が決まったときの率直な思いを聞かせてください。
悠木:前作が公開されたとき、「海外のアニメーションって、ここまで進化しているんだ!」と驚きました。日本でもSNSを中心に大きな話題になっていましたし、私も実際に見て、映像づくりの一つひとつから制作スタッフの“愛”を強く感じました。本当にアニメが好きで、そのうえで技術を突き詰めていることが伝わってくる映像で、とても印象に残っています。
そんな作品の続編が公開されること自体がうれしいですし、そこに自分が関われるなんて、本当に光栄です。せっかくお声がけいただいたからには、全力で作品の魅力をさらに広げられるよう、力を尽くしたいと思いました。
映画『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』本ポスター (C)2025 Beijing HMCH Anime Co.,Ltd
――声優さんの間でも、前作は話題になっていたんですね。
悠木:皆さん、私と同じように「海外のアニメーションもここまで進化したのか」と驚かれていました。私の感覚ですが、昔から見て育ってきた“良いアニメーションの要素”がぎゅっと詰め込まれていて、それが現代の技術で再現され、さらに洗練されている印象でした。
私も少しだけ絵を描くのでわかるのですが、ここまで緻密な映像づくりは、絶対に“愛”がないとできないんですよね。その“愛”が画面の隅々から伝わってきて、本当に感動しました。
物語も、人間と妖精の絆を描いた心温まるストーリーで、とても楽しく拝見しました。何より、シャオヘイが本当にかわいい! でも、実は私はムゲン推しなんです(笑)。
――演じるルーイエの印象も聞かせてください。
悠木:クールでかっこよくて、つれない態度がなんだか野良猫みたいなんです(笑)。でも、その中にはきっととても柔らかい部分も隠れているんだろうな、というのが第一印象でした。ただ、その優しさのような部分は簡単には見せてくれなくて……いわば“信念のあるツンデレ”。私自身、すぐにデレるツンデレはあまり好きではないので(笑)、ルーイエはとても好きなタイプでした。
見た目もとてもスタイリッシュで、女性でありながらマニッシュで中性的な雰囲気を持っていて。性別を超えた魅力を持つキャラクターだと思います。おそらく、シャオヘイが男女問わず「かわいい!」と思ってもらえる存在だとしたら、ルーイエは同じように男女どちらからも「かっこいい!」と思ってもらえるキャラクターなのではないでしょうか。
映画『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』場面カット(C)2025 Beijing HMCH Anime Co.,Ltd
――ルーイエはシャオヘイにとって姉弟子にあたる存在。今回は共に行動することになりますが、ルーイエはシャオヘイをどのように見ていると思いますか?
悠木:基本的には放任主義というか、勝手に着いてくるのを「まぁいいか」と見守っている感じですね(笑)。でも、弟子としての関係は決して上下ではなく対等なんです。自分の責任は自分でとる、だからこそ他人の責任も簡単には負わない。それがルーイエというキャラクターなんだと思います。
そのうえで、共に時間を過ごすことでお互いを理解し合い、少しずつ本当のバディになっていく。突き放しているように見えても、それは“信頼が積み重なっているからこそ”なんです。そういう距離感が、2人の関係性の魅力だと思います。
――今作におけるシャオヘイとムゲンの印象も伺えますか?
悠木:シャオヘイは前作と同じくとってもかわいいんですが、今回は彼を主軸にした物語ということもあり、その成長が周囲にも影響を与えていくんですよね。特にルーイエは、シャオヘイの頑張りを間近で見て、影響を受けていきます。彼らは妖精なので長い時を生きていますが、それでもなお未来に向かって自分の道を切り開こうとしている。その姿がすごく頼もしくて、かわいいだけじゃなく「かっこいい」と感じました。
ムゲンはもう、強くなりすぎて(笑)。今回は「かっこいい」よりも「面白い」という印象のほうが強かったです。私はもともと穏やかなお兄さんタイプのキャラクターが好きなので、ムゲンはまさにドンピシャなんですが、今作では強さの極みに到達してしまっている。その余裕がめちゃくちゃかっこいい反面、強すぎて逆に面白く見えてくるんですよね(笑)。でも、それは周囲がそう感じているだけで、ムゲン本人は何も変わっていない。むしろ、観客への“見せ方”が変化したんだと思います。
――ルーイエは、2人のことをどう見ていると思いますか?
悠木:それを語る直接的な描写はないのですが、私が感じた印象としては、シャオヘイとルーイエを弟子に取る過程からもわかるように、ムゲンって“別に背負わなくてもいい責任”を、あえて自分で抱えてしまう人なんですよね。ルーイエはそんな彼を見て、「この人、まためんどくさいことに首を突っ込んでるな」と思っているはず(笑)。そういうところは好きじゃないけれど、同時に学ぶ部分も多いからこそ、余計に腹が立つんです。
それを“優しさ”だと認めてしまったら、彼のことを認めたことになってしまう。だからこそ、その考え方を否定することで自分を守っていた。そんな防衛反応のようなものがあったのかもしれません。本当にツンデレですよね(笑)。
でも今回は、シャオヘイの成長を受け入れられるようになったことで、ムゲンの考え方も受け止められるようになる。おそらく、シャオヘイを通して、自分と師匠との関係を初めて俯瞰して見られるようになったのだと思います。

