柴咲コウ、“律する”という意識が強くあった時代を経て「ここらへんでまた爆発したい」

『バトル・ロワイアル』の鮮烈な登場から時を重ね、俳優として、アーティストとして、常に一線を走り続けてきた。そんな柴咲に自身の「現在地」を問うと、意外なほど軽やかな答えが返ってきた。
「俳優業に特別執着しているわけではないのですが、やはり物作りが好きなので、やめる気は特にないです。その年齢でできることを楽しんでやれたらいいかなって。ただ、巡り巡って二巡ぐらいして、その『バトル・ロワイアル』をやっていた時ぐらいの、もっとツンツンしたものを外側に出していきたいっていうのはあるかもしれない」。
大河ドラマ『おんな城主 直虎』をはじめ、数々のドラマや映画で主演を務めるなど、自然と社会的な責任を意識した行動をするようになっていったという柴咲。しかし今は、新たな表現への渇望が芽生え始めているという。
「前は、律するっていうのが強くあったかなと思うんですけど。なんかもう、ここらへんでまた爆発したいみたいな(笑)。役的にも、刺激的なものもやりたいなあって思うんです」。

そこには、これまで自身を縛っていたかもしれない、ある種の「守り」からの脱却があった。
「これまでどこか保守的なところが私もあって。求められてなんぼなところがあるから、それはそのまま維持するムードだったんですけど。いまは『ちょっと待てよ』ってモードなのかもしれない。ライフスタイルの話をしていても『自分に対して誠実でいてほしい』とメッセージを発するけれど、自分にもそれは跳ね返ってきて。人に合わせちゃったり、世の中に合わせちゃったりすることが私ですらあるから。率先してそこを壊していきたいなあとは思います」。
都合や計算ではなく、心が「楽しそう」と赴くままに。その純粋な衝動こそが、これからの柴咲コウを突き動かす原動力となっていく。「また爆発したい」と語った柴咲のキラキラした目は、今後の大活躍を予感させるような輝きだった。(取材・文:磯部正和 写真:小川遼)
映画『兄を持ち運べるサイズに』は、11月28日全国公開。

