岩田剛典、36歳の今たどり着いた“超どうでもいい”境地――俳優業へのコンプレックス、「頑な」だったこだわりが変化
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映画『金髪』場面写真 (C)2025 映画「金髪」製作委員会
映画の中で一つのテーマとなる「誇れる大人」。作中ではそれすらもシニカルに描かれるが、岩田自身は「大人」という存在をどう捉えているのだろうか。
「10代の時なんか、もう僕の今の年齢なんて本当におじさんだと思っていたので。でも実際なってみたら、全然大人じゃなくて(笑)。本当に時間だけが過ぎていく感覚。20代後半の頭ぐらいから、本当に時間だけが過ぎて今がある感じです。10年後ももしかしたらそんなことを思っているかもしれない」。
加速していく時間の流れに、ふと「このままだとすぐ死ぬな」と感じることさえあるという。だからこそ、今この瞬間を大切に噛み締めたい。そして、自らの心を突き動かすものに、正直でありたい。
「ファンの方の前とかでも『このままだと時間だけ過ぎてすぐ死んでしまう』とか言うと笑われる。でもなんか本当にそう思っちゃうぐらい。だから、最近は意固地にならない代わりに、自分がワクワクすることをやっていこうと強く思うようになったんです。いまそういうフェーズに入っている気がします」。

その「ワクワク」が今、岩田を日本という舞台を超えて世界へと向かわせている。今年2月にユニバーサルミュージックと新たにタッグを組むことを発表し、音楽、そして俳優として、新たな挑戦の舞台を見据える。
「いま36歳なのですが、まだ間に合うと思っているので。自分の人生を充実させることが、自分の今やりたいことだし、チャレンジできる最後のチャンスかなと。どうなるか分からないけれど、やらずに後悔するより、やっぱりやってみようと思って。もちろんストレスがかかることだし、安牌じゃないから疲れると思う。色々ネガティブなことはありますが、でも『やりたい』って思っちゃっているから、多分やると思います」。
俳優でもアーティストでもない。「岩田剛典」という一つのジャンルとして、これからも道を切り拓いていく。「とにかく行動していきたいですね」。そう語る岩田の瞳には、まだ見ぬ未来への期待が映っているようだった。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)
映画『金髪』は、11月21日より全国公開。

