『薬屋のひとりごと』悠木碧×大塚剛央、猫猫と壬氏は“まだ名前のつかない関係”「目指しているところは同じ」
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――ここからは、役と向き合ってきたお二人だからこそ、互いに聞いてみたいことを伺います。まず、悠木さんから大塚さんへ質問をお願いします。
悠木:え! 何聞こう!!! ……大塚さんは、猫猫と壬氏の関係を、どこまで恋愛だと思って演じていますか?
大塚:うわ、難しいな……。演じるうえでの意識とはいったん切り離して、僕個人として二人を見たときには、単純に「恋愛」と言い切れる関係ではないように感じています。
もちろん、そこに恋愛という要素がないわけではありません。でも、それだけでは表せない何かが、二人の間にはある気がするんです。いろいろな作品がある中でも、この二人にしかない関係性だと思うので、「何割が恋愛」と示すのは難しいですね。
悠木:すごく分かります。そう聞いたのは、ファンの皆さんから、二人の恋愛としての進展を期待されているのかな、と感じることがあったからなんです。でも、実際に演じている私たちは、必ずしもそこだけをゴールにしているわけではなくて。「まだ名前のつかない関係を、二人で丁寧に育てていこう」という感覚なんですよね。
もちろん、猫猫だからこそという部分もあると思います。でも、視聴者の皆さんの反応を見ていると「そうか、この関係も“恋愛”という言葉でくくられるんだ」と、少し意外に感じることもあって。改めて大塚さんに聞いてみたかったんです。今の答えを聞いて、目指しているところは同じだったんだなと思いました。
――今のお話を踏まえて、猫猫と壬氏の関係をあえて一言で表すとしたら?
悠木:「猫と飼い主」かな(笑)。
大塚:たしかに(笑)。猫って、「ここは触ってもいいけど、ここを触ると噛まれる」という、“お触りマップ”のようなものがあるじゃないですか。二人にも、そんな距離感がある気がします。
悠木:第3期では、「このくらいまでなら許してもいい」という範囲が少し広がったかもしれません。猫猫の嫌がり方も、以前よりちょっとだけ和らいでいる気がしますね。
悠木碧
――では、大塚さんから悠木さんへ。猫猫について、聞いてみたいことはありますか?
大塚:悠木さんは、猫猫という人物の一番“核”になっている部分を、どう捉えていますか?
悠木:精神的な部分で言うと、「地に足がついていること」だと思います。自分の幸せを、自分の中で完結させられる人なんですよね。猫猫が一人でも生きていけるのは、幸せなことも大変なことも、ある程度は自分で受け止め、折り合いをつけられるから。少女ではあるけれど、そういう意味ではすごく自立した人なんです。そこが彼女の魅力であり、核なのかもしれません。
猫猫自身も、「早く自立して生きていかなければ」と思いながら歩んできたことが伝わってくるので、私も地に足のついた人物として演じられたらいいなと思っています。
お芝居の面では、とにかく“リズム”を大切にしています。猫猫らしい落ち着いたリズムがきちんと出ると、自分の中で物事を受け止められる人にも見えてくる。彼女の生き方と芝居のリズムは、もしかするとつながっているのかもしれない、と思いながら演じています。
――猫猫の“核”について伺いましたが、大塚さんは、壬氏を形づくる“核”をどこに感じていますか?
大塚:壬氏本人が、自分自身をどこまで肯定できているかは別として、彼の生い立ちやこれまでの経験は、何か一つでも欠けていたら、今の壬氏にはならなかったと思うんです。それくらい、歩んできた人生のすべてが彼を形づくっている気がします。
なかでも大きいのは、本人にとっては不本意な部分もあるかもしれませんが、やはり“皇弟”という立場です。その立場によって、人との関係や接し方も変わってくる。猫猫に対する今のアプローチも、彼が背負ってきたものがあるからこそ生まれたのだと思います。積み重ねてきた過去と、今置かれている立場。その両方が、壬氏の核になっているのかもしれません。
また、『薬屋のひとりごと』は、大きな物語の流れの中に、人と人とのやり取りが積み重なってできている作品です。だから僕自身は、その場の空気や相手との掛け合いを大切にしていけば、自然と壬氏にたどり着けるのではないかと思っています。演出で求められるものには寄り添いながら、まずはこの作品の世界に身を委ねる。そうすることで、壬氏という人物も自然に立ち上がってくるような感覚があります。
大塚剛央
――第3期まで積み重ねてきたお二人の掛け合いに、「この二人だからこそ生まれた」と感じる芝居の呼吸や、お約束のようなものはありますか?
悠木:それこそ、ギャグシーンの掛け合いには、これまでの積み重ねを感じます。かなりシリアスな場面の直後に、急にコミカルなシーンがやってくることもありますが、その温度をすっと切り替えられるようになりました。そこは、第3期まで一緒に演じてきたからこそだと思います。
大塚:たしかに、それはありますね。『薬屋のひとりごと』がアニメとして完成したとき、どのような演出が加わり、どんなテンポに仕上がるのか。それがこれまでの収録を通して分かってきたので、まだ絵が完成していない状態でも、「きっとこういう仕上がりになるだろうな」と感覚的につかめるようになった部分はあると思います。
あとは、猫猫が頭の中で考えを巡らせているときに、壬氏が「つまり、どういうことだ?」と説明を促す、これまでにもあったやり取りですね。第3期まで来て二人の関係が深まったからこそ、その掛け合いにも変化が生まれている気がします。細かく言葉を重ねなくても、お互いの意図が伝わるようになったというか。二人の間に、そんな自然な空気ができてきたと感じています。
――第3期を楽しみにしているファンの皆さんへ、最後にメッセージをお願いします。
悠木:第2期のラストは、壬氏が皇弟として表舞台に立つ、とても華々しくドラマチックな展開でした。それを見て、「この先、いったい何が起こるんだろう」と思っている方も多いのではないでしょうか。
第3期も、めちゃくちゃ面白いです! しっかりとミステリーを楽しめますし、登場人物たちの関係も、より複雑に絡み合っていきます。明らかになる情報が増えるほど、人物や物語がさらに面白くなっていく。そんな“知る喜び”がたっぷり詰まっています。ぜひ第2期と同じ熱量で、いえ、それをさらに上回る熱量で応援していただけたらうれしいです。
大塚:僕たちは当たり前のように「第3期」と言っていますが、ここまで続けてこられたのは、皆さんが作品を楽しみ、応援してくださったからこそだと思います。第1期から第2期へと盛り上がりが大きくなったように、第3期もさらに多くの方に楽しんでいただけたらうれしいです。
第3期では、第1期、第2期とはまた違う『薬屋のひとりごと』の世界が広がっています。アニメからご覧になっている方はもちろん、原作を読んで展開を楽しみにしている方にも、間違いなく楽しんでいただける作品になっているはずです。第3期、そして劇場版へと、再び皆さんのもとに『薬屋のひとりごと』を楽しむ時間を届けられることをうれしく思います。ぜひ存分に堪能してください。
(左から)悠木碧、大塚剛央
(取材・文・写真:吉野庫之介)
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第3期は、日本テレビ系にて毎週金曜23時から日本テレビ系 30 局ネット FRIDAY ANIME NIGHT にて全国同時放送。放送終了後、各配信プラットフォームでも順次配信予定。
