唐沢寿明「セリフのある役をやるまで辞められない!」スーツアクター時代の想いを語る

スーツアクターとしてキャリアをスタートさせた俳優が、常に心に強く思っていたこと──。映画『イン・ザ・ヒーロー』でアクションスターを夢見るスーツアクター・本城渉を演じた唐沢寿明が35年前の自分を振り返り、こう語った。「セリフのある役をやるまでは辞められないと思っていた」。その言葉の持つ意味、そして想いとは……。
【関連】「唐沢寿明」インタビュー フォトギャラリー
唐沢扮する本城は、25年間スーツアクターを実直に演じ、関係者からの信頼もあついが、アクションスターになるという夢はなかなか叶わないという役柄だ。「撮影所にいくと、本城みたいな人はいっぱいいますよ。俺が当時スーツアクターやっていた頃の人も、まだいるもん(笑)。台本を読んだときは『俺の話かな』って思ったけれど、スーツアクターってみんな本城みたいな感じ。生活パターンとかも同じなんだよね」。
そんな中、夢を叶えるために、高いモチベーションを持ち続けることは容易ではない。「オーディションは落ちまくりましたよ。戦争映画のオーディションでバック転やったりして、監督から『そういうのいらないから』って言われたりね(笑)。でも俺は、役名がないようなチョイ役でもいいから、セリフがある役をやるまでは役者を辞められないって自分の中で決めていたんです」。その想いを「意地だよね」と笑顔で語った唐沢。
当然、目標を達成するための努力は惜しまない。「常に一生懸命やりましたよ。例えばショッカーをやっていても、手を抜くことは簡単に出来る。しかも、ショッカーなんて見たことないから動きなんてわからないでしょ(笑)。でも自分たちなりに一生懸命やると『唐沢って体きくな』って次も呼んでもらえたりするから。一つ一つ大切にやっていけば、必ず誰かが見てくれていて、次につなげてくれるんです」。
そんなひたむきな経験があるからこそ、大きな作品で主役を務めるまでの成功を収めても、攻めの姿勢は変わらない。「今でも気持ちはこっち側(スーツアクター時代)なんだよね。だからどんな役でも嫌がらずに精一杯やりますよ。以前、竹野内(豊)が主演した映画『太平洋の奇跡‐フォックスと呼ばれた男‐』でも、役作りでマッチョのスキンヘッドにしちゃいましたしね。外国人が見たらそういう人物も当時いたかもしれないって思ってね」。