インドの女性は「家の中で戦わなければならない」 女性監督が明かすインドの現状
シャシが前を向いていくキーワードとして登場するのが、“ノン・ジャッジメンタル”=“決めつけない”との言葉。シンデー監督自身がそれを体現しているように感じる。「私はいつも、自分がやることに劣等感を感じないようにしているの。格言としていえば、“私はできる、やれるんだから”ということかしら。落ち込んでしまったりしたときは、鏡に向かって自分自身にそういい聞かせているわ。すると、そのうちに信じているようになるから!」。
今のインドにおける女性の立場については、「村に住んでいるのか、都会に住んでいるのかによっても違うけれど」と前置きをしながら、「私のように結婚後も仕事をしている女性もたくさんいるわ。私より若い世代はもっと自信をもって、“こういうことをしたい”と言えるようになっている」とコメント。「もちろん、コンサバティブな社会もある。そういう場所では、女性は権利のために戦わなければいけない。外に出る前に、まず家の中で戦わなければいけないのよ」とうなずく。
「映画に出てくる夫も、決して悪人ではない。単に環境の動物であって、男はこうあるべきだと決めつけているのね。男性も女性も、規範という圧力の下にあると思う。それを崩壊させて、新しい道を進むことが大事だわ」。さらには「女性は自分が信じたぶんだけ強くなれるもの」とシンデー監督。女性への応援メッセージともなる映画、そのもののような優しくキラキラとした笑顔が印象的だ。(取材・文・写真:成田おり枝)
『マダム・イン・ニューヨーク』は12月3日よりブルーレイ&DVD発売開始。