中尾明慶、家族に「悲しい思いをさせちゃいけない」 俳優・父親として心境に変化
役者という仕事も、初心に帰って「見てもらう人がいてこその仕事」と強く感じているとか。「自分がやりたいことであったとしても、誰にも見てもらえなかったり、声をかけてもらえなかったら、成立する仕事じゃない。自分がやることで、笑ってくれたり、泣いてくれたりと一生懸命に応えてくれる方がいるというのは本当にありがたいこと。途中、カッコつけた時期もあったけど、今は何よりそれが大事だと思える」。
演じる和也には、「子どもが生まれた」と語るシーンもある。中尾も私生活では1歳7ヵ月になる子どもがいる。「子どもが生まれる時には、“父親にならなきゃな”と思っていたんです。でも子どもがちょっとずつ大きくなってきて、“パパ、パパ”と言ってくれて。そう呼ばれることで、息子にお父さんにしてもらっているなと思います」。
嬉しそうな笑顔がこぼれるが、「極端な話を言うと、職を失うわけにはいかないし、“お父さん”という彼が尊敬できる背中を見せてあげないといけないなと。特にこの仕事はきちんとした保証がないからこそ、やりきらないといけないと思う。家族がいて、役者をやっている以上、それで悲しい思いをさせちゃいけない」と、家族への責任が自らの大きなパワーとなっている。
「役者になりたいと言ったらどうする?」と聞いてみると、「どっちの事務所に入れるか考えないとな」とユーモアたっぷりに語る。「でも、やりたいことはなんでもやらせてあげたい。家の床なんて、落書きだらけですよ!“おいおい”とは思いますが、“やりたかったんだろう”と思って(笑)」。
主人公の兄貴的存在を演じたが、自身にとっての兄貴のような頼れる人を教えてもらった。「中井貴一さんはすごく尊敬している方。結婚をするとなった時に、“結婚っていろいろなことがあると思うけど、お互いに求めすぎずやっていきなさい”と言ってくださって。それは今も僕の中で支えとなっている言葉です」。(取材・文・写真:成田おり枝)
『鏡の中の笑顔たち』は5月30日より角川シネマ新宿他全国ロードショー。