水野美紀、仲里依紗と “取っ組み合い” も 激しい共演にストレス発散
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鎌田が用意したセリフを役者がどう解釈し、どう投げ掛けるのか。それによって受け手である水野の感情は、梨江子という役を超えて生の自分に降り注ぐ。「現場で相手役と向き合った時、自分でも想像しなかった感情が沸き起こり、揺さぶられた」と振り返る水野。中でも印象深かったのは、仲が演じる美緒との関係性だという。
「仲さんが演じた美緒は、幼児性と凶暴性が混在していて、破壊衝動もある。でも、その根源には、愛に飢えた切実さがあって、梨江子はそこに愛おしさを感じる」と表情を緩ませる。また、「この二人の関係性は最後まで目が離せない」と水野が強調するように、その掛け合いはまるでジェットコースターのよう。「微妙な距離感の中で、あるひと言がキッカケで発火してぶつかり合い、そうかと思うと抱き合って、また余計なひと言で発火する。近づいたり、離れたり、ずっとヒリヒリした関係だった」と述懐する。「ただ、二人で思いっきり叫び合ったり、取っ組み合ったりしたので、撮影が終わると、結構ストレスが発散できてスッキリ。デトックスした気分になりましたね」。
梨江子との共通点は、「打たれ強いところかな」と語る水野は、現在、女優として映画、テレビ、舞台に立ちながら、脚本や演出にも積極的にチャレンジしている。「切り替えができる方なので、複数なことを同時にやっていた方が楽しい」というたくましさは、確かに水野にとって大きな武器。「私の中では、ゼロからものを作る面白さと、与えられた役をしっかり果たす、という2つの大きな柱があって、その相乗効果によって新しい発見がある」と目を輝かせる。「でも、今回は梨江子1本に絞り切らないと難しいと思った。それくらいこの作品は特別な存在」と力を込めた。(取材・文・写真:坂田正樹)
ドラマ『逃げる女』(全6回)は、NHK総合にて毎週土曜22時より放送中。