上白石萌音、目の前の事に全力投球 大活躍の2016年は「激動の年でした」
上白石にとって2016年は「激動の年」だったという。『ちはやふる 上の句/下の句』の公開、そして記録的なヒットを遂げている『君の名は。』での瑞々しい声による演技、その『君の名は。』の主題歌「なんでもないや」を含むカバーミニアルバム「chouchou」での歌手デビュー。そしてプライベートでは大学進学も果たした。「人に会った時に『あの作品観ました』『あの役はどうでした?』ということをよく聞かれるんです。本当に色々なことが目まぐるしく動いていきました。お仕事以外でも、受験、入学と環境が変わった1年でした。苦しいこともありましたが、とても濃く楽しかったです」。
以前のインタビューで「学問と仕事の両立、歌がとにかく大好き」と語っていた上白石。目標がどんどん叶っている印象を受けるが「目標を達成しようという思いではなく、目の前にあることを枯れてしまうぐらい全力投球し燃え尽きて、また乗り越えてやろうという気持ちなんです。そうしていくうちにだんだんと自分の前に道が開けてきたという感じです」と自らを分析する。「今回の作品もこれまでのイメージと違う作品に挑戦させていただき、役柄に色々なことを教えてもらったんです。何かを定めて視野を狭くするのではなく、目の前にやって来たものに身を削って全力で挑み、少しでも自分の理想の表現に近づけたらいいなって思っています」。
自然体ながら、非常に高い集中力で表現することに打ち込む女優・上白石萌音――。演じることへの真摯な姿は非常に高いプロ意識を感じさせる一方、『君の名は。』の大ヒット御礼舞台挨拶では、RADWIMPSの野田洋次郎からのリクエストで、満員の観客の前で「なんでもないや」を披露したが「緊張しましたよ」と目を丸くしておどける。そんなギャップも彼女の魅力の一つなのかもしれない。(取材・文・写真:磯部正和)
『溺れるナイフ』は11月5日公開。