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『キングスマン』アクションの源流はジャッキー・チェン!? 坂本浩一監督が裏側を検証

映画

ー本作は、これまでのアメリカ映画にはない独特の“色”があります。坂本監督はどのようにお感じになりましたか。

坂本監督:『キングスマン』シリーズのスタントコーディネーターをブラッド・アランという人が担当していますが、彼はもともとジャッキー・チェンのスタントチームからキャリアをスタートさせているので、その影響だと思います。アクション映画をたくさん観ていると、なんとなく“色”があるので、「これは誰がやった」とか「これはジャッキーの影響を受けている」とか、すぐにわかるんです。演出のリズムも、アクションを構成するテンポも、純粋なアメリカ人が作ったものとは明らかに違いますね。

ー本作はジャッキー・チェンの影響を受けているんでしょうか。

坂本監督:僕はそう感じましたね。冒頭のカーチェイスのように、現実的にはできそうもないことをさらりとやってのけるところなんかは、まさにジャッキー映画の真骨頂。香港映画へのオマージュというか、神髄みたいなものが本作にも感じられます。笑いの面でも、アメリカ映画はどちらかというと言葉を使ったコメディやドタバタ劇が多いですが、『キングスマン』の作風を観ていると、フィジカルなコメディ要素が多い気がします。その辺も含めて、この作品は“ジッキー流派”を受け継いでいるのかなと思いますね。

ーアクションシーンの見せ方も違いますか。

坂本監督:『キングスマン』では、膨大なヴィジュアル・エフェクトやアクロバットが入ってくるのがキーポイントですが、もう1点、ジャッキー映画の影響を色濃く感じるのが、“やられる方”をしっかりと見せていること。例えば、ムチで戦うシーンがありますが、ムチがくるくる回って、それが敵に当たって倒れていく姿をしっかりと描写しているので、その衝撃がより大きく伝わってくるんですよね。アメリカ映画は、編集のリズムで見せているので、やられる方の姿はここまでしっかりと描かない場合が多い。僕が『リーサル・ウェポン4』のスタントをやったときも、撃たれて倒れるシーンを凄くがんばったのに、ほんの少ししか映ってない!みたいなことが結構ありますから(笑)

ーアメリカでスタントを経験され、現在、日本との違いを感じられることはありますか。

坂本監督:日本では裏方さんのイメージが強いスタントマンも、アメリカは“特殊技能”というものが確立されているので、スペシャリストとしての地位が確立されています。バート・レイノルズとハル・ニーダム監督はスタントマン出身なんですが、彼らが『グレートスタントマン』や『トランザム7000』などの映画を通して、「スタントマンはこんなに凄いんですよ」ということを発信してくれたことが、地位向上に貢献していますね。

ーもし、本作の続編を坂本監督がメガホンを取るとしたら、どんな作品にしたいですか?

坂本監督: 1作目は義足の女性ヒットマンが出てきてアクロバティックな戦いを展開しましたが、2作目はイギリス紳士とアメリカのカウボーイの組み合わせ。これって、状況やカルチャーのギャップを楽しむ、という考え方が根底にあるような気がします。ガジェットなんかも、アメリカ側は野球のボールやバットだったり、ジャックナイフだったりするじゃないですか。多分、日本なら手裏剣や十手とかなんでしょうね。環境の違うものと対峙した時に生まれるギャップが楽しさだと思うので、今度はアジアのスパイと戦うと面白いかな?という気がします。

ー最後に、坂本監督の視点で「こういったシーンをじっくり見てほしい」というところがありましたら教えてください。

坂本監督:技術的な面でいえば、終盤のダイナーで繰り広げる1対2のアクションですね。あのシーンは、ワンカットで撮っているように見せていますが、どこまで技術でつないでいるんだろう?というのを何度もチェックして、ぜひ、自分なりに検証してもらいたいですね。アクションの監督を目指している方にとっては凄く勉強になると思います。(取材・文・写真:坂田正樹)

 映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』は、デジタル好評配信中。ブルーレイ&DVDは、4月6日発売。アクションシーンなどのメイキングも特典映像として収録される。

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