押切蓮介、実写版『ミスミソウ』に完敗宣言 「原作を超えちゃった」
もともとはギャグ漫画家だった押切だが、「作家性を変えたい」との気持ちから『ミスミソウ』は生まれたと明かす。「ギャグじゃない、全く違うものを描きたい。人の心に刺さるものを描きたいと思っていました。背伸びしてシリアスなものを描いていましたが、作品の中にはおそらく滲み出るギャグ性があった。実写映画にもちょっと笑ってしまうようなシーンがあって、面白い現象だなと思いました」と実写版のすごさについて言及。
思春期の暴走を描く内容だが、「出てくるのは、実はみんな普通の子」と押切。「橘吉絵というイジメっ子が家では横暴な父親に悩まされていることなど、映画ではそれぞれのキャラクターの持つ弱さや孤独までをきちんと描いてくれていたので、感動しました。春花の家を放火した後に、心細さからイジメっ子たちが集まってしまう雰囲気など、漫画ではできなかったことまでを描いてくれて。僕は映画を撮りたいと思っていた人間なんですが、やっぱり映画っていいなと思いました」と賛辞は止まらず、「生みの親としては、自分の子どもが大きくなって巣立ってしまったような寂しさもあって。ここまでやられると、ちょっと凹みますよ。それくらい原作を超えてしまった」と太鼓判を押す。
「僕は悪く言えば飽きっぽくて、よく言えば色々な作品に挑戦したくて。『ミスミソウ』を描いたのは10年ほど前のことですが、好き勝手に描く傾向もそろそろ一周したかなと思いますので、もう一度『ミスミソウ』のような作品を描きたい。今回は原作が負けてしまいました!次は実写映画を超える、心に刺さるような漫画を描きたいです!」と新たな創作意欲も刺激されていた。(取材・文・写真:成田おり枝)
『ミスミソウ』は4月7日より公開。