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阿部寛「自分の個性が邪魔だった」 俳優として苦悩した日々を振り返る

映画

 「その方も僕と同じように大柄だったのですが、真ん中でドンと構えているのかと思いきや、自分のサイズを考慮して一番後ろにさがり、焦点が合ってくる位置を緻密に計算されていると答えていた。名優という名を欲しいままにされている方が、こんなに細かいところまで映り方に気を配って主役を務めているのか”と。武骨にやっているように見えて、実は繊細な部分にこだわりながら作る、それが“映画芸術なんだ”ということを思い知らされた」と振り返る。以来、考え方を切り替えた阿部は、自分の個性を作品にどうフィットさせていくかを常に考えながら、撮影に臨むようになったという。

 そして、表現者としてターニングポイントとなったのが、1993年、つかこうへい作・演出の舞台『熱海殺人事件~モンテカルロイリュージョン~』での主演。「たぶん、つかさんが“阿部を褒めてやってくれ”と仕込んだのだと思いますが、ある記者さんが書いた記事で演技を褒めていただいた。それがとにかくうれしくて。俳優になって一度も演技を褒められたことがなかったので、その言葉が僕の大きな転機になりましたね。いつか“この記事の内容にふさわしい俳優になってやろう”と自分に誓った瞬間でした」。

 その後、Vシネマを機に映像の世界に戻った阿部は、映画『凶銃ルガーP08』(94)で銃に取りつかれた殺人鬼を演じ、ガンマニア、アクションファンから高い評価を獲得。以降、『TRICK』シリーズをはじめ、俳優・阿部寛の目覚ましい活躍は語るまでもないだろう。ただ、あれだけ“邪魔”だった自身の個性をフルに生かした『テルマエ・ロマエ』(12)で第36回日本アカデミー最優秀主演男優賞を獲得するという皮肉なめぐり合わせは、まさに彼の俳優人生の紆余曲折を物語る。「大きな欲はない、これからもいただいた仕事を楽しみながら、ベストを尽くしていいものにしたい」。辛酸をなめながら、それに耐え抜き、活路を見出した阿部が、最新作『のみとり侍』で、またしても新境地に挑む。(取材・文・撮影:坂田正樹)

 映画『のみとり侍』は5月18日より全国公開。

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