“薩摩おごじょ”柏木由紀、「演技に苦手意識が強い」彼女が楽しむまで
関連 :
「役としても西郷家としても、皆さんがなじみやすく明るい雰囲気を作ってくださったおかげで、楽しく“普通”に居させていただくことができました。『分からないことや気になることがあったら、後から入ってきたとか気にせず、自分にでもいいから言ってください』という亮平さんの言葉も心強かったです」。
夫・吉二郎役の渡部豪太とは、撮影中に自然と夫婦役の絆が出来上がっていったという。
「西郷家のシーンは、アドリブでしゃべるシーンが結構あるんです。そこで話しかけてくださったり、夫婦の雰囲気が出るように自然とリードしてくださったり…撮影中、緊張で眠れていなかったこともでも吉二郎さんにだけは言えたんです。結果、『寝ないとだめだよ』って優しく言われたんですけど(笑)。唯一、最初から弱音を吐けたのは吉二郎さんでした」。
「今は西郷家の方々と会ったり、合間に話したりしているだけで楽しくて。撮影の緊張も含めて“楽しい”と思えるようになりました」という彼女。今は「素敵なキャストの方と一緒に出させていただけるだけで、自分の糧になる」と考えを改めた。
しかし、物語はいよいよ戊辰戦争へと突入していく。明るく、暖かな西郷家だからこそ、園にとっても、演じる柏木にとってもつらい展開が待っている。
「脚本を読んで、客観的に読んでいたはずなのにすごく泣いてしまって…もちろん園として読んでも泣いてしまう、つらく悲しい回でした。亮平さんも撮影中、『しんどいねえ』と常におっしゃっていたくらい…」。
撮影で作ってきた“絆”があってこそ、登場人物たちの悲しみがより胸に迫る演技となる。戊辰戦争後、西郷家を支える女性となり、「かなりたくましくなった園が観られると思う」と柏木に言わしめた園。その変化は、柏木自身にオーバーラップしていくのかもしれない。(取材・文:川口有紀)