田畑智子、母親になって生じた変化「息子が私を成長させてくれている」
田畑自身は、京都は祇園の料亭を営む家に生まれ育ち、厳しくしつけられたという。
「威厳とか伝統を受け継ぐということを幼い頃から言われて育って、長女である姉が悩んでいる姿も見てきました。私は次女なので姉と比べて楽な面はありましたが、それでも『こうしなければいけない』という教育だったので、家も祇園という町も嫌いでした。なんで私、こんなところに生まれたんだろうって」。
しかし、京都を離れて東京で一人暮らしを始めてからは、親への感謝の気持ちが芽生えてきたそうだ。
「NHKの朝ドラでシングルマザーの役をやらせてもらって、役の上とはいえ仕事をしながら子どもを育てる苦労やしんどさが感じられるようになったんです。演技でもこんなに大変なのに、実際お母さんってどれだけ大変だったんだろうと。そのとき分かったんです。生まれ育った環境とか親とかって、ずっとそこからは逃れられない、一生自分のなかに生き続けていくものなんだろうなって思います」。
田畑智子、『母と惑星について、および自転する女たちの記録』インタビュー
いずれは、本作の母親役もやってみたいと意欲を見せる。
「本当は全員の役をやりたいのですが、三女役は年齢的に無理ですし(笑)。次は、何十年か後に母親役を一度やってみたいなと思っています」。
今を生きて、さまざまなことにぶち当たりながらも、一生懸命、前向きに人生を生きようとしている女性が4人。その強さや儚さを感じることのできる好舞台となりそうだ。(取材・文・写真:志和浩司)
『母と惑星について、および自転する女たちの記録』は、3月5日~26日まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。その後4月に高知、北九州、京都、豊橋、長崎にて上演。