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黒沢清監督、女優・前田敦子の魅力は「一切協調せず一線を引く」

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 この映画はある意味、何でもありのノンジャンルの映画。いわゆるレンタル店に行って、どこを探していいか迷ってしまう多面的な異色作だ。「起承転結もなく、主人公1人の視点に絞ったいろんなエピソードが串団子のようにつながっている物語。だから、何が起こっても唐突に感じられると思います。でも逆に、その唐突感を楽しんでいただけるとうれしい」と黒沢監督はアピールする。

 さらに、「僕自身も、近年、映画祭を含め、いろんな国へ行く機会があるので、そのときのエピソードも、かなり脚本に盛り込みました。バスに乗って迷子になったり、現地のテレビニュースで日本の災害映像を見てパニックになったり…。実際、フランスで東日本大震災の映像を観たときのショックは、計り知れないものがありました。劇中、葉子もそれに近い経験をしますが、遠く離れた外国で災害や事件を見ると、日本にいるとき以上にネガティブに捉えてしまうんですよね」と述懐した。

『旅のおわり世界のはじまり』場面写真 (C)2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO
 ウズベキスタンという未知の国で、約1ヵ月間にわたりロケが行われた本作。「今振り返ってみると、思いのほか自分が素直に表れた作品になった」としみじみ語る黒沢監督。「自分の旅の経験がいくつか入っていることも大きいですが、一番の決め手は、『撮影クルーを撮影している僕たちも、撮影クルー』という構成で映画を撮れたこと。出演者とスタッフが自然に渾然一体となってくるんですが、ふと気がつけば、僕がまだ、8mm自主映画を撮っていた学生時代の気分に戻っていた。あのころはまさに、俳優も監督もスタッフも関係なく、自分がやれることは何でもやっていましたからね」。そう目を細めながら、懐かしい日々に思いを馳せていた。(取材・文・写真:坂田正樹)

 映画『旅のおわり世界のはじまり』は公開中。

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