アンジュルム・中西香菜、「アイドル人生に悔いはない」メンバーやつんく♂への思い<卒業目前インタビュー後編>

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今年、和田彩花、勝田里奈と卒業が続いたハロー!プロジェクトのアイドルグループ・アンジュルムだが、今月20日にはグループの“第二章”の幕開けとなる『私を創るのは私/全然起き上がれないSUNDAY』をリリースする。そして、グループに8年間在籍をしたサブリーダー・中西香菜も12月10日に東京・豊洲PITで行われるコンサートを最後に卒業、芸能界を引退する。卒業を目前に控えた中西に「アイドル人生に悔いはない」と話す胸の内を聞いた。
【写真】“笑顔で卒業”アンジュルム・中西香菜 インタビューカット
■アンジュルムへの改名に感じていた“罪悪感”
前身のスマイレージから、2014年にみずからが名付け親となってアンジュルムへ改名して以降、グループが成長したのは、次々に加入した後輩メンバーたちのおかげだと話す中西。
「スマイレージの当時はお客さんを集めることができず、とにかくライブができなかったのを覚えています。今となっては楽しい思い出ではあるものの、性格がネガティブなので負の感情が湧いてきてしまい、ブログで弱音を吐いてファンの皆さんを心配させてしまったこともたくさんありました。
だからこそ、自分たちで初めて立った日本武道館での公演(2014年7月開催「スマイレージ LIVE 2014夏 FULL CHARGE 〜715 日本武道館〜」)は一番印象に残っています。47都道府県ツアーを達成したご褒美として実現したものでしたが、ライブもろくにできなかった自分たちのためにファンの皆さんが集まってくれるかが当日まですごく不安でした。でも、当日客席はいっぱいで、舞台袖の緊張感や終演後の寂しさだったり、今でもライブの一瞬一瞬が鮮明に思い出せるほどです」。
その年の終わり、アンジュルムへ改名したことはグループにとって大きな分岐点だったと話す中西。「私がフランス語の『天使』と『涙』をかけ合わせた名前がそのまま使われることになりましたが、初めは正直なところ不安もありました。スマイレージが浸透していたので『何でアンジュルムなんだ』という声があったし、グループ名を言うたびに『スマイレージの方がよかったのかな…』と思っていたんです。
覚えづらい名前にしてしまった罪悪感もあり、新グループ名が広まっていくことへの怖さも正直ありました。ただ、だんだんと『アンジュルムが好き』という声を聞くようになってからは自然と薄れ、うれしくなっていきました」。
■後輩メンバーの加入のおかげで成長できた
「アンジュルムになってからは今のところ毎年、新メンバーが加入しているんですけど、初めのうちは『歌もダンスも苦手なのに、先輩として教える立場にならなければいけない』という焦りもありました。でも、後輩のみんなが入ってきてくれたことで、自分自身の引っ込み思案だった性格を変えられたり、成長を味わうことができました」と語る中西。
なかでも、改名と同時期に三期メンバーとして、室田瑞希、佐々木莉佳子と同時に加入し、約3年グループに在籍した相川茉穂は「昔の自分を見ているようでした」と回想する。
「三期のみんなはハロプロ研修生の出身ではあったけど、あいあい(相川)は(佐々木)莉佳子やむろ(室田)と比べて、歌やダンスに苦手意識があったみたいなんです。当時はどこか『私なんて』と一歩引いてしまう子で、接していくうちに何だか自分と似ているなと思うようになりました。
血のつながった妹のようでもあり、双子のようでもあり、ひょっとすると昔の自分を見ていて、あいあいとの時間は過去の自分を育てているような感覚だったのかもしれません」。
さらに中西はこう語る。「後輩のみんなの勢いがなければ、改名してからの定期的なツアーや日本武道館公演を実現することはできなかったと思います。いろいろな経験をしてきたけど、スマイレージ時代からの苦労も支えにしながら、アンジュルムを通してたくさんの景色を見ることができたのでアイドルとしての人生に悔いはありません」。
■つんく♂には「何で卒業するの?」と聞かれた
20日には中西が最後に参加するグループ27枚目シングル『私を創るのは私/全然起き上がれないSUNDAY』がリリースされる。収録曲のうち、2曲目の『全然起き上がれないSUNDAY』はアイドルとしての“育ての親”でもあるつんく♂が作詞・作曲を手がけているが、卒業にあたるメッセージのやり取りもあったという。
「卒業を決めてから、つんく♂さんにはメールで『卒業することになりました。お世話になりました』と送りました。でも、返信の内容が意外だったんですよ。ふつうならば『卒業おめでとう。頑張れよ』と返ってくると思っていたんですけど、つんく♂さんが返してくれたメールは『何で卒業するの?』という内容でした。
自分を変えたい思いから卒業を決めたはずなのに、その言葉で一瞬『あれ、何でなんだろう?』と考えさせられたんですけど、あえて尋ねてくるのがつんく♂さんっぽいなとも思いましたね。そのあと『自分なりにもっと頑張りたいからです』と送ったら、つんく♂さんからは『そっか。頑張れよ』と返信をいただきました」。
実は、これまでつんく♂にはメールで相談することが多かったと話す。「振り返ると“メル友”みたいな関係性だったなとも思うんですけど、数年前に『歌もダンスもぜんぜんできないんですよ』と送ったら『当たり前じゃん。みんなと経歴も違うんだから、そのぶん頑張らないと』と返してくれたり。
つんく♂さんの言葉って思わぬことにハッと気付かされることも多かったんですけど、本当に、私たちのお父さんみたいだなと思います」。