高岡早紀、“魔性”イメージにジレンマの過去も「ありがたい言葉として、面白がれるように」
年齢を超越した美しさと輝きを放つ、女優の高岡早紀。人気ドラマを映画化した『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』では、純愛を貫くがゆえに狂気と化してしまう主人公、リカをあでやかかつ、パワフルに演じ、観客をくぎ付けにする。男女を問わず魅了する彼女の美しさは、たびたび“魔性”と形容されてきた。高岡は「以前は“魔性”と言われることがすごくイヤだった」と告白。しかし今では「ありがたい言葉として、面白がれるようになった」と楽しそうに笑う。リカという役柄も「面白がって演じている」としなやかに生きる高岡が、内面から輝く秘訣(ひけつ)を語った。
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◆リカの恋愛観に共感も「あそこまで人を愛せるのは、うらやましい」
原作は、第2回ホラーサスペンス大賞を受賞した五十嵐貴久のサイコスリラー小説『リカ』シリーズ。2019年のドラマの最終回で、捕まったはずの警察を抜け出して愛する人の元へと向かったリカのその後を描く。
2019年10月期にドラマが放送されるや、運命の男性を手に入れるためには方法を選ばないリカのサイコぶりと、高岡の振り切った演技が、SNS上でも話題となった。「雨宮リカ、28歳です」と自称するリカだが、今やリカが当たり役の一つとなった高岡も、オファーを受けた当初は戸惑いもあったと振り返る。
映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』より (C)2021映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』製作委員会
「ここまでサイコな役はやったこともありませんし、“雨宮リカ、28歳です”というセリフを読んだときも、もちろんとても引っかかりました。実のところリカは、私とそう違わない年齢の設定でもありますし、28歳に見えなくてもいいわけですが、“28歳です”と言い切るサイコさを持っている。リカをやると決めるには結構、勇気がいりました」と述懐。「リカ自身には、偽りの気持ちがない。真っすぐで素直な気持ちで演じることを大切にしています」とも語る。
映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』より (C)2021映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』製作委員会
サイコな行動を繰り返し、“純愛モンスター”と言われるリカ。しかしリカの“愛されたい”という願いは、誰しもが共鳴するものでもある。「リカほど究極ではないにせよ、誰だって“愛したい”、“愛されたい”と願いますよね。そういった人間の欲求は、当たり前のもの。私自身、あそこまでピュアに人を愛せたらいいなと思います」と心を寄せた高岡。「“大好きな人のなにかを持っていたい”、という気持ちもわかります。恋をしたとしても普通は、生活や仕事、友達のことなど、いろいろと考えてしまう。でもリカは愛する人、一人しか見ていない。狙われてしまった男性は怖いと思いますが(笑)、リカの真っすぐに人を愛する気持ちは、うらやましいところもあります」と憧れる部分もあるという。
◆劇場版のリカは飛ぶ! リカを通して、女優業の醍醐味(だいごみ)を再確認
テレビシリーズでは、タクシーに乗って逃げる男性を“真顔の高速走り”で追いかけ、タクシーに追いつく…という人間離れの脚力を披露するなど、数々のぶっ飛んだ行動でリカは視聴者を驚かせてきた。劇場版のリカは空高く舞い上がり、壁をはい上がるスパイダーマンばりのアクションを見せている。これには高岡も驚いたそう。
映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』メインビジュアル (C)2021映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』製作委員会
高岡は「台本を読んで、“リカが飛び上がる”と書いてあって。映画化するということで、制作陣も“ドラマよりスケールアップさせたい”と思っていて。“驚かせるようなことをしたい”とは聞いていましたが、まさか飛ぶとは!」とニッコリ。「“どうしたらリカが飛ぶのか”と、自分の中に取り入れる時間が必要でしたが、リカはなんでもアリなキャラクター。エンターテインメントは皆さんに楽しんでいただかなければ意味がないので、“観る方に喜んでいただくためなら、リカが飛ぶのも面白いかもしれない”という考えに至りました」と“リカらしさ”も感じて、撮影に臨んだ。
ワイヤーアクションも「最初は“怖い”と思っていたんですが、やってみたら思った以上に楽しかったです!」と声を弾ませる。「アクションは苦手」だそうだが、「また“飛んでくれ”と言われたら、やってしまうかも」とどうやらリカは自身を思わぬ発見に導いてくれる役柄でもある様子だ。リカとの出会いが、高岡にもたらしたのはどのようなものだろうか?
「リカに愛着が湧いている」という高岡は、「リカって、怖いじゃないですか」と口火を切り、「すると私も“怖い人”だと思われたりして(笑)。リカという役柄に出会ったことで、私自身、話題が絶えなくなったところもある」と思いを巡らせる。「リカを通して“こんなこともやってしまっている私”というのも面白いし、“こんなこともやるんだ”と思われる役をやることで、女優としての自由度が増して、さらに自分自身を解放できるようになりました。すべてを面白がっている私がいるんです」と楽しそうに話す。