秋刀魚の味

【解説/みどころ】
巨匠・小津安二郎の遺作となった作品。小津自身は家庭を持たず、母と二人きりの生活を送ってきたのだが、その母をこの「秋刀魚の味」の構想中に失った。娘を嫁に出した父、あるいは母の孤独というのは小津作品に繰り返し現れるシチュエーションだが、真の孤独を味わった小津によって描かれたこの作品での父親役・笠智衆の、淋しさに震える背中は今までにないすご味がある。娘と暮らす初老のサラリーマンは、婚期の娘の結婚を心配する。娘には好きな相手がいるらしいが、はっきりしない。父は、同僚から娘の見合いを勧められる。縁談はもたつきながらやがてまとまり、娘は嫁いでいく……。どちらかといえば、軽いコメディ・タッチで作られているところが、逆に父親の孤独感を浮き彫りにして秀逸である。娘を演じた岩下志麻の快活さも新鮮で、原節子が演じてきたしっとりした感じとは違った味わいがある。この作品を最後に翌年、小津は60才の誕生日にその生涯を閉じた。
- キャスト
- 笠智衆/ 岩下志麻/ 佐田啓二/ 岡田茉莉子/ 牧紀子/ 中村伸郎/ 三宅邦子/
- スタッフ
- 監督: 小津安二郎 脚本: 小津安二郎 野田高梧
- 上映時間・制作年
- 112分/1962年
- 制作国
- 日本
- 配給
- 松竹=松竹大船
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