カンヌ国際映画祭グランプリ SNSの功罪を問う『英雄の証明』場面写真公開
映画
第74回カンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞したイランの巨匠アスガー・ファルハディ監督最新作『英雄の証明』より、場面写真が解禁された。
【写真】アスガー・ファルハディ監督最新作『英雄の証明』場面写真
本作は、『別離』『セールスマン』で2度のアカデミー賞受賞を誇るファルハディ監督によるヒューマンサスペンス。母国イランとヨーロッパを股にかけて活躍し、人間と社会の本質に鋭く切り込む作品で数々の国際的な映画賞を受賞してきたファルハディ監督が、新作ではSNSやメディアの影響力にフォーカスを当て、真実というものの曖昧さや、社会に潜む欲望やエゴを現代的な切り口であぶり出す。
第74回カンヌ国際映画祭にてグランプリとフランソワ・シャレ賞を受賞したほか、第93回ナショナル・ボード・オブ・レビューにて脚本賞と外国語映画賞を受賞、第79回ゴールデン・グローブ賞では非英語映画賞にノミネートされた。本年度の米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストに選出され、アカデミー賞最有力候補との呼び声も高い。
主人公は、イランの古都・シラーズで、借金の罪で投獄され服役している男・ラヒム。ある日、彼の婚約者ファルコンデが偶然にも17枚の金貨を拾う。その金貨で借金を返済すれば、すぐに出所できるラヒムだったが、罪悪感に苛まれ、金貨を落とし主に返すことを決意。そのささやかな善行はメディアで大反響を呼び、“正直者の囚人”という美談の英雄に祭り上げられていく。しかし、SNSを介して広まったある噂をきっかけに状況は一変。ラヒムは周囲の狂騒に翻弄され、無垢な吃音症の幼い息子をも残酷に巻き込んだ大事件へと発展していく。
今回解禁された場面写真は7点。借金のため刑務所に服役しているラヒムが休暇で家に戻った際に、驚きと喜びの表情を浮かべる姉マリの姿や、床に座って食べるイランの一般家庭の食事シーンで、家族で囲む夕飯を用意するラヒムの嬉しそうな笑顔などが切り取られている。そのほか、周囲から金貨を拾ったのは嘘ではないかとSNSで広められ、追い詰められたラヒムを婚約者ファルコンデが心配そうに見つめるシーンなど、サスペンスフルな展開を予感させる場面も収めている。
なお本作には、ファルハディ監督の実の娘であるサリナ・ファルハディも重要な役で出演している。過去にもサリナは、父が監督した『別離』で主人公夫婦の娘を演じ、ベルリン国際映画祭にて女優陣のアンサンブルを称える銀熊賞を受賞した。彼女にとって本作は、『別離』以来の出演作となる。
映画『英雄の証明』は、4月1日より全国順次公開。
