『義足のボクサー』名匠メンドーサ監督の演出 台本なし&ほぼリハーサルなしの長回し撮影に驚き
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フィリピンの名匠ブリランテ・メンドーサ監督が、俳優の尚玄を主演に迎えて感動の実話を描く映画『義足のボクサー GENSAN PUNCH』より、メイキング写真が解禁。併せて監督、キャストからコメントが到着した。
【写真】『義足のボクサー GENSAN PUNCH』メイキング写真
本作は、義足のために日本でのプロボクシングライセンスが取得できず、夢を叶えるためフィリピンへと渡った尚生(尚玄)の姿を描く。監督は『キナタイ ‐マニラ・アンダーグラウンド‐』(2009)で第62回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞し、『ローサは密告された』(2016)など不条理な社会でもがきながら懸命に生きる人々を撮り続けてきたフィリピンの名匠ブリランテ・メンドーサ。2021年東京国際映画祭ガラ・セレクション部門に正式出品されたほか、2021年釜山国際映画祭アジア映画の窓部門キム・ジソク賞を受賞した。
「障がいがある人たちが直面する困難だけでなく、映画が観客に提起できる問題や注目すべき事柄なども追及した」と語るメンドーサ監督は、不条理と希望、社会に蔓延する理不尽な行為や抑圧に苦しみながらも希望に向かって生きる人々に対する敬意を胸に現場に臨んだ。
義足のボクサーの実話を描くにあたり、「ボクシング観戦では、華やかさや名声、勝者などに注目するが、実際試合の背景にはそれ以上に多くのことが起こっている」と、リング上の試合だけではなく、試合の背後で展開される切実な人間ドラマにフォーカスしたという。
主演の尚玄は「台本はなく、事前のリハーサルも殆ど行わない」と明かし、「撮影は長回し、3台のカメラを回して一気に撮る」と、ナチュラルでリアルな映像を追求したメンドーサ監督の演出に驚がくした。
今回解禁されたメイキング写真は全4点。ジムでトレーニングに励む尚玄に身振り手振りで演技指導するメンドーサ監督の姿や、屋外の特設リングでアマチュア戦に向かう場面にはコーチ役のロニー・ラザロの姿もある。また主人公・尚生の故郷である沖縄では、メンドーサ監督が眼鏡をかけて室内撮影を演出。そのほか、母を演じた南果步と子役とのメイキングカットも公開された。
映画『義足のボクサー GENSAN PUNCH』は、5月27日より沖縄、6月3日よりTOHOシネマズ日比谷にて先行公開。6月10日より全国公開。