人類史上最悪の戦争犯罪に切り込む『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』30秒予告
ナチス支配下のドイツ“第三帝国”にかかわった加害者側の人々の証言を記録したドキュメンタリー映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』より、30秒予告映像と場面写真が公開された。
【写真】前代未聞のドキュメンタリー映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』30秒予告
ヒトラー率いるナチス支配下のドイツ“第三帝国”が犯した、人類史上最悪の戦争犯罪“ユダヤ人大量虐殺【ホロコースト】”。本作は、当時の武装親衛隊のエリート士官から、強制収容所の警備兵、ドイツ国防軍兵士、軍事施設職員、近隣に住む民間人まで、終戦から77年を迎える今「現代史の証言者世代」と呼ばれる高齢になったドイツ人やオーストリア人など加害者側の証言と、貴重なアーカイブ映像を記録したドキュメンタリー。
メガホンをとったのは、イギリス出身のドキュメンタリー監督ルーク・ホランド。ホランド監督は、10代になって初めて、母がウィーンからのユダヤ人難民で、祖父母はホロコーストで殺害されたというルーツを知った。そして2000年代に“祖父母を殺した人間を捜す”という目的でこのプロジェクトに着手したという。
「すぐに無理だとわかりました。しかし、彼らの仲間には実際に会うことができる。ヒトラーのために腕や銃を振り上げた人たち、残虐な犯罪を犯した人たちを通して、ホロコーストが繰り広げられた背景をよりよく理解できるかもしれないと考えたのです」と振り返るホランド監督は、2008年から10年の歳月をかけて250以上のインタビューを行い、本作完成直後の2020年6月、71歳で癌により死去。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が行われている現在と重なる、まさに“今”起きていることを語っているかのような、時代を超えたメッセージが本作には込められている。
アドルフ・ヒトラーの第三帝国に参加しホロコーストを直接目撃した、生存する最後の世代である高齢者たちは、ナチス政権下に幼少期を過ごし、そのイデオロギーを神話とするナチスの精神を植え付けられて育った。戦後長い間沈黙を守ってきた彼らがカメラの前で語ったのは、ナチスへの加担や、受容してしまったことを悔いる言葉だけでなく、「手は下していない」という自己弁護や、「虐殺を知らなかった」という言い逃れ、果てはヒトラーを支持するという赤裸々な本音まで、驚くべき証言の数々だった。ホランド監督は証言者たちに問いかける。戦争における“責任”とは、“罪”とは何なのかを。
今回解禁された30秒予告映像は、「これは前代未聞のドキュメンタリー映画だ。ナチス・ドイツの子供たちによる最後になるであろう証言」というナレーションから始まり、ナチス占領時代の貴重な映像や、かつて“第三帝国”に関わった加害者たちのインタビュー映像が映し出されていく。「目をくらまされるな!」と若者たちに必死に訴えかける元武装親衛隊員や、顔を両手で覆う女性。また、「タイムリーかつ不吉な予兆」「日常に潜む悪」(ザ・タイムズ紙)、「過去が現在に語りかける」(ガーディアン紙)といった、本作を絶賛する海外メディアの評価も挟み込まれている。
場面写真は、元武装親衛隊員の老人が勲章や徽章を誇らしげに並べて見せる姿や、ナチス政権下時代のドイツ市民たちが、第三帝国の国旗(ハーケンクロイツ)を背に、笑顔でナチス式敬礼をしてヒトラーへの忠誠を誓っている様子などをとらえたものとなっている。
ドキュメンタリー映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』は、8月5日より全国公開。