福地桃子×岡山天音『あの娘は知らない』、複雑な感情を抱える2人を映し出すメインビジュアル解禁
女優の福地桃子が主演を務め、俳優の岡山天音が共演する映画『あの娘は知らない』より、メインビジュアルが解禁された。『君の名前で僕を呼んで』『花束みたいな恋をした』などを手掛けた石井勇一によるデザインで、チラシとポスターで異なるものとなっている。
【写真】福地桃子×岡山天音、映画『あの娘は知らない』チラシビジュアル
本作は、海辺の町でひっそりと旅館を営む中島奈々(福地)と、失ってしまった恋人の足跡をたどりその町に行き着いた青年・藤井俊太郎(岡山)、お互いに「喪失」を抱えた2人の新しいつながりと希望を描く作品。脚本・監督は井樫彩。
ポスターでは、複雑な感情を抱える奈々と俊太郎の表情にフォーカスしたスチールが使用され、2人は何を感じ、何を思っているのか、観客の想像力を刺激するビジュアルになっている。かつての映画ポスターがそうであったように、「自分の部屋に飾りたくなるようなポスター」が意図されている。
チラシではゴミ捨て場で抱き合う奈々と俊太郎を捉えたスチールが使用されており、幻惑的な照明と相まって、本作の世界観を象徴するビジュアルになっている。
両方のビジュアルを手掛けた石井勇一は、「たくさんのひと夏の光が散りばめられた、まるで宝石箱のような男女の新しい紐帯を描いた奇跡の体験。人は繋がり続けることで成長して変わり続けられるのだろう。終始、美しいスチール群に酔いしれた制作に当たっての宣伝ビジュアルは、まるで記憶の走馬灯を眺めているかのように表現しています」とコメント。
また、チラシの裏面には文筆家の折田侑駿と映画執筆家の児玉美月のコメントも掲載している。
映画『あの娘は知らない』は、9月23日より全国公開。
■折田侑駿(文筆家)コメント
井樫彩という映画作家の作品には、彼女が生み出す物語を生きる者たちにとっての「アジール」が必ず登場する。「アジール」とは「聖域」のことであり、「避難所」を意味するものだ。それはある特定の者を除き、何人たりとも立ち入ることの許されない神聖な世界であり、傷を負った者につかの間の安らぎを与えるオアシスである。井樫監督の作品にはしばしば傷ついた者たちが登場するのだが、一見、救いのない状況下に置かれているかに思えるこの人々を、彼女は「アジール」へと誘導する。果たしてそこでは何が起こっているのだろうか─長編第三作となった『あの娘は知らない』における「アジール」は、〈夜の海〉である。
■児玉美月(映画文筆家)コメント
男女の関係の最上位は決して恋愛ではないはずであり、女性は女性だけと分かり合えるわけでもない。近年はとりわけ女性同士の連帯を示す「シスターフッド」という言葉が活況を呈した。そして2020年代の半ばへと進みつつあるなか、セクシュアリティの違いやジェンダーの非対称性を抱え込んだ男女が紐帯を結べる希望をみせてくれる『あの娘は知らない』は、今まさにわたしたちの元へと届けられるべきだろう。