“バズる動画”を優先する人々への警鐘も 『NOPE/ノープ』兄妹が謎の巨大飛行物体の撮影を企てる本編シーン解禁
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映画『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督最新作『NOPE/ノープ』より、主人公と彼の妹が謎の巨大飛行物体の撮影を企てる場面を収めた本編映像が解禁。併せて、ピール監督が作品に込めたメッセージを明かすコメントも到着した。
【動画】謎の巨大飛行物体を撮影しようと企てる兄妹
本作は、『ゲット・アウト』(2017)で第90回アカデミー賞脚本賞を受賞したジョーダン・ピール監督が、2019年公開の『アス』以来3年ぶりに放つ最新作。田舎町にあるハリウッド唯一の黒人経営であるへイワード牧場を舞台に、突如現れた謎の飛行物体がもたらす“最悪の奇跡”を描き出す。全米映画ランキング初登場No.1を獲得した。
広大な敷地の牧場経営で生計を立てていた一家。ある日、その一家の長男である主人公オーティス・ジュニア(ダニエル・カルーヤ)は、家業をサボって市街に繰り出す妹エメラルド(キキ・パーマー)にウンザリしていたところ、突然空から異物が降り注ぐのを目撃。その直後、先程まで会話していた父親が落馬し息絶えてしまう。
今回解禁された本編映像は、オーティスから父親の不可解な死の直前、異様な飛行物体を一瞬目撃したことを聞いた妹エメラルドが、その飛行物体がフェイクでないことを証明する物的証拠を動画に収め、金銭を得ようと思いつく場面。彼女がオーティスとショッピングをしながら「うまく公開すれば一生セレブ生活よ」「目先の現金じゃなく有名番組に扱ってもらう」「ネットのフェイクとは違うすごいのを撮るのよ」などとやる気満々で語る姿が映し出されている。
半年前に父が不可解な死を遂げてから、もとより苦しかった牧場経営がさらに悪化し、困難に陥っていた2人。状況を打破するために安直に思いついた計画だったが、実行に移した彼らはこのあと予想もつかない真の“最悪の奇跡”に直面することとなる…。
謎の巨大飛行物体に恐怖を感じながらも、その正体を撮影しようと計画する兄妹の会話を切り取った同シーン。ピール監督は本作で壮大なスケールの物語を描く一方、「異常な光景や出来事を目の当たりにしたとき、人々はどのような行動をとるのか」ということについて問題提起していると明かす。
「この作品の根底にあるのは“人はスペクタクルに取り憑かれていていいのだろうか”という疑問だ。特に金銭が絡んでくると、本来は純粋であるべきだったり自然であるべきだったりするものが大胆に搾取されるよね」と語り、例え自分の身に危険が伴う行為であっても、ソーシャルメディアで“バズる動画”にするため、その現場を記録することを優先する人々へ警鐘を鳴らしている。
エメラルドを演じたキキ・パーマーも、自身の役柄について「SNS中毒でインフルエンサーを目指して躍起になるエメラルドは、この作品が描いているものと大きく関わっています。つまり、自分の外側にある何かを常に追い求め、承認欲求を満たす何かを求め続けている」と説明。続けて「たぶん誰もがエメラルドに共感できると思う。自覚できるかどうかは別として、見てほしいという気持ちだけは私たちの多くが持っているから」と語っている。
映画『NOPE/ノープ』は、8月26日より全国公開。