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本木雅弘よりメッセージコメント動画到着 『ジェラール・フィリップ 最後の冬』で吹替担当

映画

<コメント全文>

■本木雅弘

――ジェラール・フィリップとの出会いについて。

フランスの詩人ジャン・コクトーのファンで、20代の頃に彼の書籍「映画について」を読み、若くして36歳で亡くなった美しい俳優さんがいることを知りました。

「肉体の悪魔」の著者でもある、自身が愛していたレーモン・ラディゲのことと並べてジャン・コクトーが、語っていたんです。悪い妖精がジェラールに「お前の栄光は短い」といたずらで言ってしまった。そして他の妖精たちが、そのつじつま合わせをするために、長く命が続いた時と見合うくらいの、強く短い栄光を与えた。ラディゲは、短い期間に才能を惜しげもなくさらす人生になった。ジェラール・フィリップもまた、役者として精神の富を大盤振る舞いして、太く短く生きた。それはなんと並外れた贅沢なことか、と称賛したんです。

――ジェラール・フィリップの出演作で好きな作品は?

『肉体の悪魔』です。年上女性とのロマンスの物語で、17歳の青年の役を25歳のジェラール・フィリップが演じましたが、演技が完成されていました。役者の仕事は、初々しさを保つとか、何か忘れてはいけないことを胸に持ちながらそれをコントロールして演技することって難しいんです。慣れが出てきてしまったり、虚勢を張りたくなってしまったり…。ただ『肉体の悪魔』のときのジェラール・フィリップは、本当に無防備で、素直に心の形を変化させている。ただ若かったからだけじゃなくて、生まれ持っていた資質なんじゃないかなと思いました。

またジェラール・フィリップの目がどうしてあんな風に美しく見えるか。その眼差しは自意識に向いていないんです。役になりきり、物語で届けたいものがある。さらにドキュメンタリー映画『ジェラール・フィリップ 最後の冬』を観るとわかるように、情に熱い人間的な部分もあり、眼差しが他者に向かっているんです。だからそこに尊さがあって、より美しく見えるんだと思います。

あととても好きなのは『美しく小さな浜辺』です。悲しい戦争孤児の社会派ドラマですが、本当にジェラールさんは素晴らしかったですね。全編通して陰鬱な空気が漂っているんだけれど、時々小さな救いが一瞬出てくる。あれだけ美しい人が、閉塞的な世界の中で苦しい役どころをすると、そのコントラストでテーマが本当に美しく見えてくる。人間の業や哀しみが、より深く感じられて、とても素晴らしかったです。同じイヴ・アレグレ監督の『狂熱の孤独』を観てみたいです。

――ドキュメンタリー映画『ジェラール・フィリップ 最後の冬』を観た感想は。

ジェラールさんは全身全霊、託された想いに答えた人なんじゃないかなと思うんです。時代に選ばれた人だと思います。戦争が終わった直後で、世の中がどうなってゆくかわからず、もがきながら未来を模索している人が、若者も大人も多くいたと思います。彼らにとって、希望を託すのにふさわしい人だったと思います。妻・アンヌさんからの影響を受けながら、皆の希望に応えて生きたジェラールさんの使命感や情の厚さに拍手をしたくなりました。

ドキュメンタリー映画で、ある人の輝いていた時間、その裏にある苦悩を覗かせていただくっていうのはとても幸せな出来事だと思います。ぜひ皆さんに映画館へ足を運んでもらい、観てもらいたいです。

■パトリック・ジュディ(監督)

1960年代、ジャン=ポール・ベルモント、アラン・ドロンがジェラール・フィリップと入れ替わるように登場します。もしジェラール・フィリップが生きていたら彼が一番いい役を取っていて、彼らのキャリアももう少し違ったものになっていたかも知れません。この作品で彼の人間性に興味を持ってくれると嬉しいです。そして映画史や舞台史における彼の存在の大きさを、再確認できる機会になればと思います。

■山田宏一(映画評論家)

その完璧な演技は「瑕(きず)のないダイヤモンド」と称賛されて輝いていた。見る者に豊かな幸福感をもたらす好感度100パーセントのスターだった。

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『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』予告編

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